1962年創業から半世紀以上に亘り、多くの賓客をもてなしてきた「ホテルオークラ東京」が
2019年「The Okura Tokyo」として生まれ変わった。
オークラの格式は細部に引き継がれ、貴重な芸術的意匠を多く残している。
日本を代表する名門ホテルの美意識の源泉を訪ねる。
研ぎ澄まされた美意識に見る名門ホテルの誇りと進化
「ホテルオークラ東京」が建替えのため一時本館を閉館したのは2015年8月のこと。その重厚な歴史的建築の解体を惜しむ声も内外から多く上がったが、2019年9月12日「ホテルオークラ東京」は「The Okura Tokyo」として不死鳥のごとく復活した。「ホテルオークラ東京」の創業は1962年。旧大倉財閥出 身の大倉喜七郎氏が日本らしいホテルを作ることを目指し、大倉邸宅跡地に開業。誕生したホテルは華美な装飾よりも奥ゆかしさのある平安朝の優美さを採 用した。そうした美意識はホテルの隅々にまで行き渡り、当時は「一万八千坪の 芸術」とも呼ばれた。今回の建替え後もその芸術は継承され、館内のいたるとろで今では再現できないような貴重な芸術的意匠に出逢うことができる。 特にロビーは建替え前のロビーの設計者である谷口吉郎氏から息子谷口吉生氏へと仕事は引き継がれ、違いが分からない程に完全再現された。「ホテルオークラ東京」が築いたレガシーは新世代へと確かに受け継がれたのだ。ホテルの隅々で感じる伝統あるサービスや佇まいには、正に「名門の品格」という言葉が相応しいだろう。ここは世界へ日本文化を発信する拠点なのだ。生まれ変わった「The Okura Tokyo」は地上41階建ての「オークラ プレステージタワー」と地上17階建ての「オークラ ヘリテージウイング」という2つの棟で構成されている。 「オークラ プレステージ」は既に台北とバンコクに展開している国際的なラグジュアリーブランドだ。東京ではモダンの中に和のアクセント を取り込み、都会の洗練さを感じるコンテンポラリーな空間を演出している。 また、国内外のゲストに東京の眺望を楽しんで頂きたいという想いから、約190mもある高層棟の28階以上しか客室を配置していない。谷口吉生氏が設計したメインロビーにはオークラを象徴する照明器具「 オークラ・ ランターン」や「梅の花のテーブルと椅子」「世界時計」「 行燈 」 など昔からのオークラファンなら親しみを覚えるデザインが随所に再配置されている。 また「オークラ ヘリテージ」は自国の迎賓館 としての役割を果たすという。 日 本の伝統美のエッセンスを取り入れ、歴史的な意匠を多く継承している。客室は全て広々した間取りが特徴で、静寂や気品を醸し出している。特に四季を感じる坪庭がある、最上階の「 プレジデンシャルスイート」は人気が高い。またこちらのロビーの家具の一部は、昔からの品に漆を塗り直して再使用するなど、オークラの誇りとこだわりを感じる。錦張り交ぜの壁面装飾や、本館の大宴会場「平安の間」で使用されてい た「三十六人家集の料紙」など、匠の技や貴重な歴史的遺産となる数々の意匠を引き継いでいる。「ホテルオークラ東京」の面影を知る常連客には嬉しいサプライズだろう。いつの時代も変わらない、日本の美意識に基づいたオー クラの源泉を実際に是非とも感じてみてほしい。
継承する伝統美と洗練さ、オークラの新たな挑戦
Royal Suite
「オークラ プレステージタワー」にある 201m²の「ロイヤルスイート」。西は新宿、北は皇居方面、東は東京駅方面と 180 度開けた眺めは圧巻。大小5脚のソファが配置された応接室や、デスクワークに最適の書斎、窓際に置かれたスツールなどビジネスシーンにも使い勝手は良さそう。小さなキッチン設備もあり、部屋でディナーコースをたのしむ事も可能だ。
1日の終わりには、眺望の良いバスタブにゆっくり浸かって、日々の疲れを流し、東京の夜景を見ながら、眠りにつく。その至福の時間を味わいたい。
Ambassador Suite
「オークラ ヘリテージウイング」にある137m²の「アンバサダー スイート」。 子供連れにも嬉しい間取りだろう。書斎やベッドールームにも木が多用されているので、ホテルというよりまるで自宅で寛いでいるかのよう。華美な装飾を排除した、インテリアとともにゆったりと過ごしてみたい。
オークラの伝統と革新
新しい「The Okura Tokyo」のコンセプトは”伝統と革新”。その概念が活きる料理、空間、ホスピタリティがさらに洗練され、生まれ変わったダイニングを紹介しよう。旬の素材と五味・五法・五旬を重視した。五感で味わう日本料理やオークラ初期からの伝統と思想を進化させたフランス料理。東京の中心にいながら約60年受け継がれる日本のおもてなしを、洗練された料理とともに体験してほしい。
ファン待望のメインバーから伝統の名店まで、
哲学を守り進化を続ける 「オークライムズ」
01.オーキッドバー
正統と気品、そんな言葉が何よりも似合う都会のバー
気品漂う正統派の大人のバー「オーキッド バー」はかつてあったメインバーの名称を継承。長いカウンターに座り、オークラスタイルと呼ばれる通常とはシェイカーを逆に振る優雅なシェイカー裁きを見ながらグラスを傾ける。何か一杯を選ぶなら、オークラの伝統のウォッカを使った「ブル・ショット」を。ウイスキー党ならばアイルランド発祥のホットカクテル「アイリッシュ・ コーヒー」にも惹かれるはずだ。生クリームの甘 みとコーヒーの苦味が絶妙。香り高い一杯は食後 酒にデザートと合 わせて愉しむのも通い慣れた大 人の飲み方だ。また、オリジナルブレンデッドモルトや既に生産終了したオールドビンテージのウイスキーのリストも充実している。
ホットカクテル「アイリッシュ・ コーヒー」。生クリームの甘みとコーヒーの苦味が絶妙。
香り高い一杯は食後酒にデザートと合わせて愉しむのも通い慣れた大人の飲み方だ。
02. Nouvelle Époqueue [ヌーヴェル・エポック]
進化する芸術的フランス料理
日本におけるフランス料理の父と呼ばれた故小 野正吉氏の味を守り続けるフレンチ・レストラ ン。創業以来オークラの顔とも呼ばれ、日本のフランス料理界をリードして来た存在だ。「ラ・ ベル・エポック」時代は正統派フランス料理とヌーベル・キュイジーヌでゲストを喜ばせてきた。そして新しい時代「ヌーヴェル・エポック」では、昔から続く伝統的シグネチャーディッシュ を新たな次元へと昇華させている。料理哲学は 「ヘルシー&ガストロノミー」、日本の食材を融合させ、見た目も味も芸術性を追求している。オークライムズの魂を受け継いだ髙橋哲次郎シェフによる、新しい挑戦と魅力に溢れたメ ニューに注目していただきたい。
03. 山里
日本料理「山里」は本格的会席料理だけでな く割烹から鮨、天ぷらまで専用のカウンター を備え、TPOとその日の嗜好にあった使い分けができる。「おまかせ」の精神とは日本料理ならでは頼み方で、食材や料理人への敬意が 込められたもの。「山里」はそんな日本料理の基本的概念を守り、四季折々の旬の食材を見た目にも美しい一皿で表現してくれる。また、昔からの料理も数多く存在し、ここにもオークライムズは息づいている。天然真鯛のかぶとを使った「鯛のあら炊き」は「山里」 を代表するシグネチャーディッシュのひとつ だが、ゲストのお腹の具合や好みに合わせて 味付けを変えるという。そんな目には見えない細部にもオークラならではのおもてなしと伝統へのこだわりが確かに感じられるだろう。
04. スターライト バー
贅を知り尽くした大人が通う秘密にしておきたい遊び場
かつて最上階にあったことから星空を臨む「スターライト」と名付けられたバーが「オークラ プレステージタワー」最上階の41階に復活。スタイリッシュなカウンター席の「The Bar」、東京を一望できるビューシートがある「The Lounge」、秘密の個室のような「Chef’s Table」で構成されており、シチュエーション別に使い分けるのもいい。フードメニューも軽食だけでなく、コース料理からデザートまで揃い、プレゼンテーションまで素晴らしい。記念日にシェフズテーブルを貸し切りにしてプライベートダイニングと洒落込 むのも「スターライト」ならではの新しく都会的な楽しみ方だ。
05. Spa
四方に東京の夜景が広がる天空の癒し空間
フィットネスエリア、 プール、 スパトリートメントルームを併設する「Okura Fitness & Spa」は「オークラ プレステージタワー」の27階という高層階にある。自然光が入る、開放感たっぷりの25m温水プールや最新のマシンを揃えたジム、炭酸泉を使った浴室も完備。専任トレーナーも常駐しているのでパーソナルトレーニングも可能だ。またスパトリーメントには日本初上陸の「ANNAYAKE」のプロダクトを使用。 モダンと伝統を融合させるそのエスプリは、オー クラのコンセプトに合致している。古代から東洋に伝わる自然哲学である五行思想をモチーフ に、木、火、土、金、水という五元素をテーマ にしたトリートメントは体験すべきメニューだ。
06. Sweets [オリジナルスイーツ]
オークラの特別な思い出にスイーツをテイクアウェイ
「シェフズガーデン」では、料理長やパティシエが厳選した人気のスイーツやドリンクなど、オオクラ伝統の味を持ち帰ることができる。おすすめはオリジナルのフレーバーティーや老舗とコラボした和菓子。ベルギーの王室御用達ショコラティエ「ピエール マルコリーニ」 とのコラボで生まれたオリジナル・チョコレートもお土産には必須のアイテムだ。開いた瞬間のサプライズで特別な人を喜ばせることができるだろう。
07. Club Lounge [クラブラウンジ]
きらめく東京を一望、大人のステイにおすすめするリュクスな空間
東京タワーが煌く絶景が広がる「クラブラウン ジ 」。 ヘリテージウイング・ クラブフロアのゲストなら、7時から22 時まで自由に利用できる。オークラならではのフードプレゼンテーショ ンは訪れる時季によってメニューが異なるのも嬉しい。朝食は軽食のビュッフェスタイル、午後はアフタヌーンティー、アペリティフタイムにはピンチョスなどのフィンガーフードが並ぶ。ナイトオードブルには軽いおつまみや、オリジナルスイーツやチョコレートも提供されるので、1日に何度となく訪れたくなる。さらにパリの老舗「ベッジュマン & バートン」のアイスティーやホテルオリジナルの日本酒である「龍力 純米大吟 醸 山里」もいただける。
08. Room Service [ルームサービス]
ディナータイムも二人きりでそんなわがままを叶えてくれる
「客室はもうひとつのレストラン」がルームサービスのコンセプト。24時間レストラン同様のサービスを部屋までワゴンで届けてくれる。
和朝食やオムレツなど、早朝の出発や深夜に部屋に戻った時などに便利。
オークラの歴史
2019年9月12日「ホテルオークラ東京」は「The Okura Tokyo」として不死鳥のごとく復活。「ホテルオークラ東京」の創業は1962年。旧大倉財閥出身の大倉喜七郎氏が日本らしいホテルを作ることを目指し、大倉邸宅跡地に開業。誕生したホテルは華美な装飾よりも奥ゆかしさのある平安朝の優美さを採用した。そんな「ホテルオークラ東京」が築いたレガシーは新世代へと確かに受け継がれたのだ。ホテルの隅々で感じる伝統あるサービスや佇まいには、正に「名門の品格」という言葉が相応しいだろう。ここは世界へ日本文化を発信する拠点なのだ。「オークラ プレステージ」は既に台北とバンコクに展開している国際的なラグジュアリーブランドだ。東京ではモダンの中に和のアクセントを取り込み、都会の洗練さを感じるコンテンポラリーな空間を演出している。 谷口吉生氏が設計したメインロビーにはオークラを象徴する照明器具「 オークラ・ ランターン」や「梅の花のテーブルと椅子」「世界時計」「行燈」 など昔からのオークラファンなら親しみを覚えるデザインが随所に再配置されている。 また「オークラ ヘリテージ」は自国の迎賓館としての役割を果たすという。 日本の伝統美のエッセンスを取り入れ、歴史的な意匠を多く継承している。客室は全て広々した間取りが特徴で、静寂や気品を醸し出している。錦張り交ぜの壁面装飾や、本館の大宴会場「平安の間」で使用されてい た「三十六人家集の料紙」など、匠の技や貴重な歴史的遺産となる数々の意匠を引き継いでいる。「ホテルオークラ東京」の面影を知る常連客には嬉しいサプライズだろう。いつの時代も変わらない、日本の美意識に基づいたオークラの源泉を実際に是非とも感じてみてほしい。