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THE HIRAMATSU KYOTO

ザ・ひらまつ 京都

京町家の歴史を無二に昇華
京都をしつらえた都市型ホテル

千年の都として文化の花開き、古今東西多くの人々を惹きつけてきた京都の中心地に新しい風が吹いた。フレンチに始まり、料理を文化として極めてきた「ひらまつ」による、伝統と先進を融合させた21世紀の料理旅館だ。

ザ・ひらまつ 京都 | 京都市中京区 京都府

いつの頃からか、京では町家が当たり前のように宿泊の選択肢に加わるようになった。多くは町家の内装をシンプルに現代的に整えたレジデンスのようなものだが、そこに町家という住居の本来の姿や“味わい”があるのだろうかと疑問に思うこともある。そんな気持ちに応えるかのように登場したのが「ザ・ひらまつ 京都」だ。日本で最も特異な歴史と文化を有する京を深く理解し、新たな付加価値を与え、滞在する客人に一期一会の思いを伝える。それがこの宿のもてなしの根幹である。2020年3月オープンという、世界情勢的には非常に厳しいスタートを切ったが、それでも訪れるゲストは途切れない。「ひらまつ」というブランドへの信頼と、そして、それまでのリゾート展開とは異なる都市型ホテルとしては初進出という話題も手伝ったからだろう。しかし、たとえ物見遊山であろうとも、その佇まい、内部の設いの隅々に至るこだわりに、いつしか心奪われてしまう。京都の高級数寄屋造りの名工を始祖とする中村外二工務店による町家再生は細やかさと斬新さを見事に融合させている。呉服問屋であった面影を残す糸屋格子、その上方に見える漆喰の虫籠窓、小さな鍾馗様などの外観の美しさもさることながら、その内側は改築のみならず、新たに建物や庭を加えている。日本随一の伝統建築名工の匠と、ひらまつの料理を極める精神が共振して生まれた料理旅館は、古の都に鮮やかな新風を運んだ。

客室に一歩踏み入れると、すぐには部屋が見えない。廊下を進むにつれ目の前の趣が変わり、部屋へと誘われる日本伝統の平面構成は、必要から生まれた美の典型である。そして何もないと思われたところに思いがけない意匠を設けるのも伝統建築の妙だ。壁一面を覆う鈍色の鉛の板は時とともに風合いが増す。訪れる度に変化する表情を愛でるのも定宿ならではの楽しみであり、また帰ってきたいと思わせる心憎い仕掛けである。

ゆったりとしたバスルームはシンプルでスタイリッシュなデザインで、しかも温かみを感じさせる。ジェットバスと機能性はもちろんのこと、ふんわり柔らかなリネン、爽やかな香りのバスアメニティなどすべてオリジナルで揃えられている。バスタイムの充実こそ、旅をさらなる忘れられないものにしてくれる。

障子窓からの柔らかな光も心地よいサロンにはお茶やお菓子を楽しむのに程よいダイニングセット。和の空間に絶妙なバランスで洋家具が馴染んでいる。

The Hiramatsu Suite

"はんなり"が表現された京町家のディテール

日本の職人仕事には「用の美」の心が息づいている。その伝統精神を感じずにいられないのが客室だ。スイートといえど華美な装飾は見当たらず、自然木、塗り壁の穏やかな色調が全体を覆う。格子の仕切りは部屋と部屋を緩やかに繋ぎ、北欧デザイナーによる家具も違和感を感じさせない。ベッドは街歩きに疲れた心身を包み込み、あたかも我が家にいるような寛ぎを感じさせてくれるのだ。

Deluxe Premier

和と洋の緩やかな結びつき
心地良い休息を約束する客室

古来、旅人を癒しもてなすために磨き上げられてきた旅館の真髄とは、家具が現代的になろうとも、機能性が増そうとも揺るがない。29ある客室は全てそのコンセプトに基づいてデザインされている。104.4㎡のスイートから54.8㎡のスーペリアまで5 つのタイプに分かれているが、72.1 〜77.4 ㎡のデラックスプレミアは間取りの異なる6種類。いずれの部屋にもベッドルームの先に格子を隔てて"広縁"を思わせるサロンがある。一段下がったサロンは目線が下に来ることによって落ち着いた雰囲気を醸し出し、街歩きに疲れた時や食後のひととき、心と体をゆったりと解放してくれる。

バスルームの充実に心を砕いているのもこの宿の特徴だ。スペースを確保し、適度な明るさと落ち着いた色味で統一。ジェットバスを備え、現代的でありながら全体的に和の空気を感じさせるところも心憎い。まるで自宅にいるような寛いだ気分になれるのは、ベッドやそのほかのクオリティもさることながら、ストレスフリーなバスタイムあってこそなのである。

Omotenashi

オリジナルのリネン

ハンドタオルなどタオル類、バスローブ、そしてルームウェアのパジャマ、作務衣に至るまで徹底して品質を吟味。いずれも肌触りの良さにこだわった上質のコットン素材で、タオルはたっぷりと厚手で吸水性も抜群の今治のもの。

オリジナルアメニティ

バスアメニティは京都・和束産茶葉エキス配合の爽やかな香りが特徴のオリジナル。女性には「かづら清老舗」の天然椿油と有機栽培の精油を使ったスキンケアセット。ヒノキのリボンはバスタブに浮かべると心地良い香りが広がる。

京都のおやつ

用意されているお茶は煎茶とほうじ茶の2種類。京都最大のお茶の産地、和束町産茶葉を使ったオリジナル。お茶と一緒に供されるお菓子も京都の菓子舗のオリジナルパッケージ。和菓子の優しい甘みが旅の疲れを癒してくれる。

Ristorante La Luce

イタリア料理に和の心を忍ばせる無二の美食体験

天井高く広々とした空間に太い梁が軽やかなリズムを生み出す。世界広しといえどこれほどまでに和洋が美しく融合した場所はないだろう。ここでは京都の伝統野菜を始め、日本各地の優れた旬の食材を明快なイタリア料理として味わうことができる。そして朝食も基本的にこの部屋でいただく。竹林の庭が朝の空気を清々しいものにしてくれる。

割烹泉

旬の素材と伝統の技を紡ぐ、京を感じるひらまつの味

欅の一枚板のカウンターがすっと伸びた様子に、これから真の美味を味わうのだという心地良い緊張感を感じる。日本の伝統料理は、単に器の中の世界ではなく、その場の空気そのものにも依拠していることをあらためて気付かせてくれる。目の前で完成されていく料理、カウンターの向こうに見える松の庭、全てが味わいとなって記憶に刻まれる。

Ristorante La Luce
料理長 筒井 崇海氏
割烹泉
料理長 小泉 壮登氏

料理旅館における食事は、旅のハイライトである。それが美食の京都で、しかもひらまつとなれば自ずと期待値も上がる。イタリア料理の「リストランテ ラ ルーチェ」、和食の「割烹 いずみ」、いずれも期待を軽々と超えた食を体験できるダイニングだ。リストランテは太い梁が縦横に走る吹き抜け天井の開放的な空間で、窓からは竹林の庭を望み、和洋と今昔を融和させた雰囲気に息を呑む。京野菜など豊富な地元の食材を駆使して和を感じさせつつも、前菜からデザートに至るまで正統なイタリア料理が楽しめる。一方、割烹は、欅の一枚板カウンターとその向こうに見える庭の松が凛とした空気を醸す空間で、小体だが全てにおいて京町家ならではの美意識に貫かれた設いが目にも心地よい。供される料理はどれも丁寧な仕込みが施され、じわりと染み出す旨味には五臓六腑が喜びを隠せない。翌日の朝食は、和食あるいは洋食を選ぶが、いずれも素材の滋味を生かした色とりどりの品々が並び、眼福口福が充実した一日の始まりを約束してくれる。このためにもまた帰ってきたいと思わせてくれる、まごうことなき本物の料理旅館である。

レストランがすべての始まりであるからこそ、「ザ・ひらまつ 京都」は美味しいものをいただきたいというゲストの気持ちを最も大切にしている。そして食材の豊かな京都という立地を活かすべく、素材の力に負うところの大きい日本料理とイタリア料理を提供している。例えばイタリア料理であれば、「近江牛もも肉のグリエ」は炭火焼きにしたランプに山菜のフリット、黒胡椒のマスカルポーネを添えて、和牛の旨味に山菜とイタリアのクリームチーズを組み合わせる。魚料理の鰆は皮を香ばしく焼いて身は半生に仕上げ、ひじきのリゾットと自家製の木の芽味噌でアクセントを。手法もプレゼンテーションもあくまでもイタリア料理だが、素材の風味が独特のニュアンスをもたらし、"ここでしか食べられない"一品となっている。対して割烹はいうまでもなく京料理の正統を貫く。鮑に焼きなす、雲丹、トマトを合わせた一皿は、丁寧に引いた出汁のゼリーで個性の強い素材をひとまとめにする。イサキはシンプルに塩焼きにして皮目をこんがりとさせ、淡白だが旨味のしっかりした身に芳ばしい香りを纏わせる。素材の良さを完璧に引き出したがゆえに、あしらいはさつま芋レモン煮に留めるところが潔い。またホタルイカなら軽く火を通したしゃぶしゃぶ仕立てで、白味噌の風味を添え、じゅんさいと合わせて涼やかな食感を楽しませる。一皿一皿に物語があり、料理人の心を感じる。その先にあるのは言葉にできない恍惚の世界だ。

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