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目次

リトリートホテルアットブルーラグーン

The Retreat at Blue Lagoon Iceland

アイスランドにある露天温泉「ブルーラグーン」は文字通り温水を湛えた青き湖だ。 北極圏に近いというのに水着で温泉が楽しめる、 世界でも珍しいリゾートとスパを体感したい。

極北のサンクチュアリ
世界最大の青き露天風呂

ヨーロッパ最後の秘境と呼ばれるアイスランドはイギリスから北へ1300kmほど、ノルウェー海に浮かぶ氷の島だ。氷の島=アイスランドとは、かつてバイキングが発見した時は厳冬期で、島全体が純白の雪と氷に覆われていたことに由来するといわれる。その一方、火山活動は活発で火山と共存する生活が住 民の間には根付いている。つまりアイスランドとは火と氷の島なのだ。首都レイキャビクから送迎車に乗り込み、国道41号線を南東へ向かう。 街を出ればすぐ溶岩地帯に出るはずだ。島全体を覆うのは溶岩と永久氷河。北緯65度という森林限界に位置しているため時折見かける緑は地表を覆う苔や低木ばかりだ。そんな月面世界のドライブを30分ほど楽しんでいるとやがて目的地に到着する。ターコイズブルーの温水が入江を満たす世界最大の露天温泉「ブ ルーラグーン」だ。 それは日本の温泉のスケールをはるかに超えている。5000m²という広大な青い温泉はプールというよりも青い湖。実はこの「ブルーラグー ン」は天然の温泉ではない。火山と共存するアイスランド人の知恵が生み出した人口の温泉施設なのだ。

驚異の絶景に囲まれた唯一無二の癒しのリゾート

Lounge

1階にある「ラウンジ」ではリラックスタイムを。
レストラン以外ではバスローブ姿で自由にリゾート内を移動することができる。

天然資源に乏しいアイスランドでは、古来から地熱や蒸気、温水を熱源とする生活が営まれてきた。 1976年、 地熱を利用した大規模な発電所がスヴァルツエンギに作られると、グリンダビークに安定した電気が供給されるようになる。 これは海水を含んだ温水で真水を温めるシステムで、発電の副産物として生じた温水を地下に流さずに溶岩地帯を満たしたのが「 ブルー ラグーン」の始まりだ。日本同様温泉文化があるアイスランドでは、 1987年にこの温泉が一般公開されるとたちまち人気のスパリゾートとなる。 それはひとえに地熱発電という、 火山との共存を目指したアイスランド文化の賜物なのだ。 2018年には「ブルーラグーン」 内に62のスイートルームとスパ、レストランからなるラグジュアリー・ スパリゾート「 ザ・ リトリート 」 が誕生する。近年の世界的な傾向として、 建築には環境との調和や持続可能性を重視したサスティナビリティがマストとなっているが 「ザ・リトリート」では施設内の電力や温 水は全てスヴァルツエンギで生産されたものを使用してい る。設計を担当したバサルト・アーキテクトは環境との調和を最重要視。1266年の噴火によってでき た溶岩地帯の上に作られているので、 素材や色調はもちろんのこと周囲から突 出するような高層階は一切ない。 自然に溶け込んでいるというより自然そのものの中にいるかのような落ち着きと安らぎを与えてくれる、それがなにより心地よい。「ブルーラグーン」の温水自体は、 実は牛乳のような乳白色。 海 水70%と真水30%で構成されており、海水に含まれるミネラル分が日光を反射し、可視光線である青色が強調されて見えるのだ。 その唯一無二の美しさは2012年ナショナルジオグラフィック誌が選ぶ「 驚異の絶景25 」 に選ばれたこともあるほど。絶景の温泉を堪能したあと、 水面に浮かんでいるかのようなベッドルームで眠りにつく。夜中にふと目を覚まして窓の外をみると、 月夜に青く輝く「ブルーラグーン」 が見える。 そんな神秘体験にも似た極上ステイができるのも「 ザ・ リトリート」ならではの魅力だ。

【ラグーンスイート】Lagoon Suite

専用のプライベートラグーン付きの「ラグーンスイート」。バルコニーに出れば目の前のラグーンに手が届くほどの近さだ。天井まで届く大きなガラス窓が魅惑的な風景との一体感をより強調させる。ベッドルームから部屋を取り囲むラグーンを眺めていると、水面の上で寛いでいるような不思議な感覚になる。

【モススイート】Moss Suite

溶岩の岩肌とシックなインテリアが 調和する「モス・スイート」。モダンなコンクリートの壁と大きな窓から見える絶景が印象的である。2階に位置するためプライベートバルコニーに出れば雄大な溶岩地帯の様々な表情が見渡せる。朝方は日の出が アイスランドの空を紅色に染め、静寂の真夜中は色彩豊かに輝くオーロラを見れるかもれない。変わりゆく風景を180度のパノラマで愉しめるのも「モス・スイート」の醍醐味だ。

躍進する北欧ガストロノミーアイスランドの美食体験

【モスレストラン】

2020 年版ミシュランにも掲載された、アイスランドを代表するレストラン。3 種類のテイスティング・メニューがあり、内容は日替わり。料理に合わせたワインペアリングも充実している。 ドレスアップして「ザ・リトリート」のディナーを楽しみたい。

従来北欧諸国は地理的ハンデから料理後進国といわれてきた。しかし豊富な海産物に加え、キノコや地衣類などの森の恵み、伝統的発酵食品を使った新しい北欧料理が誕生している。 緑黄色野菜や果物が育たないので苔や木の皮を料理に使い、 レモン代わりに蟻の蟻酸を使用するなど、大胆かつサステイナブルな北欧ガストロノミー料理はいまや世界中の注目を集めているのだ。 「ザ・リトリート」のメインダイニング「モ ス・レストラン」もその流れを踏襲。5 〜 7 皿からなる「 セット・ メニュー」 では地元の食材を多用したアイスランド・ガストロノミーが体験できる。 また欧米で人気の、 肉や魚、卵、乳製品など動物性食材を一切使用しない「ヴィーガンメニュー」を取りれているのも特徴だ 。「 シェフズテーブル」はシェフの創造性を生かした「 モス・ レストラン」のシグネチャーディシュからなる構成。 いま世界のフーディーズの間では、未知の土地や国を料理を通じて体験するフード・ エクスペリエンスが人気だが、アイスランドのテロワールを体現できる「モス・レストラン」 のメニューは是非一度体験してみたい。


ヒラメの一種ハリバットや鱈もアイスランド料理にはよく登場する。 白ワインやバターでムニエルにするとどこか懐かしい洋食の味に。付け合わせはシンプルにブロッコリ、チコリなど季節野菜のグリル。

人気のデザートは新鮮な牛乳を使ったジェラート。キャラメルやチョコレートとの組み合わせに時折感じる塩味のコントラスト。
フライパンにバターを熱し、日本の焼き鮭のようなアトランティックサーモン。薄切りのキュウリとディルの清涼感がサーモンの野性味を中和してくれる。付け合わせはポーチドエッグで、土をイメージしたクランブルとともに。
アトランティックサーモンは北欧を代表する味、ほどよい脂と上質な肉質はマリネでもグリルでもスモークでもよく、ショウガ、ワサビ、ディルなどオリエンタルな味付けとも相性が良い。養殖の場合はア ークティックサーモンともいう
メインの肉料理は羊や鹿、時には熊が登場することも。特に羊料理はアイスランドを代表する味で、家庭料理ではシチューによく使われる。付け合わせはジャガイモやニンジンなどの根菜類。地物のクレソンが彩りを添え、ほのかな苦味が心地よい。
こちらはポーチエッグをメインにした卵料理。キュウリ、ディル、セロリなど香りの強い野菜の付け合わせ。

こちらはポーチエッグをメインにした卵料理。
キュウリ、ディル、セロリなど香りの強い野菜の付け合わせ。

Experience The Elements

青き温泉水、ブルーラグーン大地の恵みから生まれた肌と心のトリートメント

スヴァルツエンギ発電所が作られた当初から、 その温水はミネラル豊富で体に良いと言われていたが、 半信半疑で実践する人はいなかった。しかし、 1981年長年皮膚病に悩まされていたヴァールル・マルゲイルソン氏という男 性が温水に身を浸すと症状が劇的に改善。 彼はこの温泉を「 ブラォ ア・ロニズ」(アイスランド語でブルーラグーン)と命名した。1987年に一般開放された時も、 やってくるのは主に皮膚病を患う患者だったという。「ブルーラグーン」の温水で特に皮膚への効能があるとされるのは藻とシリカだ。シリカとは冷えると水と分離する性質を持つ泥の一種。1994 年「ブルーラグーン」温泉成分から 抽出したオリジナルのスキントリートメント製品を発表し、2005年には 「ブルーラグーン・クリニック」もオー プン。健康だけでなく美も追求する旅人が集まるようになったのだ。

「ブルーラグーン」から抽出されたは、その成分が極めて肌に良いことで知られている。 コラーゲンの生成を促し、フェイシャルに使用すれば小じわなどの発生を最小限に抑制。肌に常に栄養を与えるだけでなく保護する効果がある。肌をいつまでも若々しく保ってくれる理想的な天然成分。

Algae[藻]
Silica[シリカ]
Minerals[ミネラル]

マグネシウム、塩化ナトリウムなどのミネラル分を抽出して作られた「 ミネラル・ マスク 」 は肌に水分を与えて活性化。さらに保湿効果を高めて血液循環を刺激するなど、まさに良いこと尽くめ。寝る前に10分から20分顔に塗ると効果抜群。無添加無着色、天然成分のみ、しかもヴィーガンなので肌にも環境にも優しくて安心。

シリカは「ブルーラグーン」を代表する成分のひとつ。温水を乳白色に保ち、太陽光を受けて温水を青く輝かせる。白い泥のようなシリカの塊は「ブルーラグーン」のあちこちに見られる。肌のバリア機能を強化する働きがあるのでディープクレンジングを行い、毛穴の可視性を低下させてくれるので明るく健康的な肌を保つ。

火と氷の国が創る芸術原始地球に魅了される

「ブルーラグーン」で心身ともにリラックスした 1日を過ごしたならば、今度は外の世界を体験しよう。 なにせ温泉を一歩出ればそこには原始の世界に連なるアイスランドの大自然が手付かずで残されているのだから。

「ブルーラグーン」で温泉と美食とスパを堪能し、心と体のメンテナンスを終えたならば旅の最後に一歩外へと足を踏み出し、 火山と氷が生み出した、アイスランドの大自然を体験してみるのはどうだろうか。「 ブルーラグーン 」 メイン棟階にあるビューイングデッキからは苔に覆われた溶岩地帯の大パノラマが楽しめる。南側に見える山は標高243 mのトールビョルン。2万4000年前に誕生した死火山だ。トレッキングシューズに履き替えてリゾートから歩くこと約30分、 3kmほどの距離にある山頂に着く。そこからはグリンダビークを包みこむように広がる、ファクサ湾の美しい眺めが楽しめるばかりか、よく晴れた日ならば対岸にあるスナイフェルスヨークトルの氷河まで見える。これはジュール・ベルヌの小説「地底探検」で地球の中心へ降りる入口があるとされた山。そんな話も信じたくなるような絶景の氷河だ。 また「 ブルーラグーン 」 の周囲には一切建築物がなく、空気汚染も最小限に抑えられているので、夜にはいまだ体験したことないような満天の星空に出会えるだろう。 北極光ノーザンライツを楽しむならば9月から3月にかけての冬季がベストシーズン。 もし幸運に恵まれたなら頭上を埋め尽くす、息を呑むようなオーロラに出会えるはずだ。「ザ・リトリート」にはオーロラ・モー ニング・コールという人気のサービスがある。これは事前にレセプションに頼んでおけば例え真夜中でもオーロラが出現した時、 電話で起こしてくれるのだ。しかもオーロラ出 現 予報が出た際は、 施設すべての照明を落とし、オーロラが見える条件をすべ て整えてくれるのだから、心強い。 初めて見るオーロラへの期待に、胸ときめいて眠れない夜。その瞬間を待ちわびて夜更けにカーテンを開ければ、そこには青いラグーンの頭上に輝く美しきオーロラの絶景が。「ブルーラグーン」は、そんな万に一つの極北の奇跡にも、 今すぐ出会えそうな、そんな気持ちにさせてくれるのだ。

INFORMATION
The Retreat at Blue Lagoon Iceland
TEL : +354 420 8700

客室数 | 61室
チェックイン | 15:00
チェックアウト | 11:00
アクセス | ケプラヴィーク国際
空港より車で約30分
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