その存在は唯一無二
アフリカの絶対王者シンギタの真髄とは
タンザニアや南アフリカなど、アフリカ4ケ国、合計17のリゾートを運営する。シンギタ・グループは広大なスケール感とホスピタリティの高さゆえ、まさに「アフリカの王者」である。タンザニアのセレンゲティ国立公園内にある「シンギタ・ササクワ・ロッジ」は広さ41,000ヘクタールの中に僅か10室のみ。
これがシンギタのホームグラウンドである。
キリマンジャロ空港を発った小型機は、やがてこじんまりとしたゲスト専用のササクワエアストリップに降り立った。まずは空港近くにある専用ラウンジでウェルカムドリンクで喉を潤した後、専用車で大平原を走り抜け「シンギタ・ササクワ・ロッジ」へ向かう。シンギタ・グループはアフリカの王者と呼ばれるラグジュアリー・サファリ・リゾートだ。1993年に南アフリカのサビサンドに「シンギタ・エボニー・ロッジ」が設立されて以来、その後29年間でシンギタ・グループは南アフリカ、ジンバブエ、タンザニア、ルワンダの4ケ国、合計17のリゾートを運営するほどにまで成長した。創業者であるルーク・ベイルス氏は、100年前に祖父が購入した3万エーカーの土地に最初のシンギタを生み出すと、やがてその地は狩猟区から野生動物を守る保護区となり、後にサビサンド野生動物保護区となった。次の100年に向け、シンギタが提唱するのはアフリカの大自然を保護し、保存すること。創業当初から持続可能性=サスティナビリティを常に考え、ファンドやトラストを生かしてアフリカの生物多様性を保護しているのだ。シンギタ・ササクワ・ロッジ、そこは天空の王室。標高1478mから見渡せる景観は"王者"のみに大自然が与えられた奇跡の贈り物だろうか。世界のエグゼクティブ達が喧騒を離れ、アフリカの王者を求める理由を紐解きたい。
なぜシンギタが
アフリカで王者なのか?
ルーク・ベイルス氏は、セレンゲティ西部の権利を持つ慈善家と出会い、2002年に非営利のファンドを設立。35,000エーカーもの広大なグルメティ保護区の管理権を取得し「シンギタ・ササクワ・ロッジ」をオープンした。テラスから一望できるサバンナは全てシンギタ・グループが保護、管理している保護区だ。
Two-bedroom
大自然と協奏する、全てを兼ね備えた邸宅
開放的な2ベッドルームは、アンティークな内装でそれぞれの部屋にバスタブを完備。窓からの眺めも素晴らしく、1日の疲れを癒す夕方のバスタイムは格別。専用のインフィニティプールがある広いテラスは、サファリを眺めるのに最適。
デイベッドに寝転んでアフリカの風を感じてくつろぐのも、双眼鏡片手にサファリに現れる野生動物を探すのも、楽しみ方は自由自在だ。1日の疲れを癒す夕方のバスタイムはまた格別だ。ゆったりと大きめのバスタブに浸かりながら冷たいアペリティフで喉を潤す。窓の外に目をやれば広大なサバンナが淡いピンクから燃えるようなオレンジ色に染まる。
なぜシンギタがアフリカの王者と呼ばれるのか。その1つはホテル施設にある。アフリカのロッジというと利便性や快適性は二の次で、キャンプ生活を連想する人も多いだろう。しかし部屋にはバスタブやエアーコンディショナー、オーディオ機器まで揃う。アフリカのど真ん中にいる事を忘れてしまうほどの快適さで、まるで邸宅である。邸宅風のロッジは20世紀初頭のイギリスで一世を風靡したエドワーディアン様式で作られており、全体が直線で構成されていることで安らぎを与えてくれる。テーパードレッグの家具やシルバーの燭台、さまざまなアフリカのボタニカル画などが、古き良き時代を偲ばせ、華美過ぎない装飾は、英国貴族の田園の別宅を思わせる。猫足のバスタブが置かれたバスルームからはサファリが見渡せ、専用のインフィニティプールがあるテラスからはアフリカの壮大な夕焼けが楽しめる。というのも「シンギタ・ササクワ・ロッジ」を取り囲むのは、セレンゲティ国立公園西部にある35,000エーカーのグルメティ保護区。ルーク・ベイルスは非営利団体を立ち上げてこの地を保護する権利を取得し、周囲を囲む東京ドーム三千個分のサバンナは「シンギタ・ササクワ・ロッジ」が保護し、管理している。後述するが、開逅した人間の 生き方にまで影響を及ぼしてしまうのがアフリカの王者たる所以なのだ。「シンギタ・ササクワ・ロッジ」を取り囲むのは、セレンゲティ国立公園西部にある35,000エーカーのグルメティ保護区。周囲には手つかずの大自然が広がっているというのに、ロッジ内ではまるで英国貴族のように快適かつ優雅なひとときを過ごせるのも実に稀有。キングサイズベッドで寛いでいるとアフリカにいることさえ忘れてしまいそうな、そんな甘美な時間が流れてゆく。
メインハウスに隣接したパブリックエリアにある広大なインフィニティプールの水面には抜けるようなアフリカの青い空が映り、ひとたび腰を 落ち着ければ、しばし心を解き放つリラクゼーションタイムを味わえる。
Breakfast in the Bush
生命の息吹に満ちた、心がざわめく体験
アフリカに滞在するのであれば、特別なダイニングを体験してもらいたい周囲を取り囲むのは人工物が一切ない手付かずの大自然が残り、野生動物が多く暮らすグルメティ保護区。専門のガイドが同行するサファリ・ウォークや、四輪駆動で野生動物に近づけるゲームドライブといった本格的なアクティビティもいいが、まずはピクニックランチなどどうだろう。テーブル設営やセッティングはもちろん専属スタッフが全て行ってくれ、チャコールグリルを使ったアウトドア・バーベキューまで振舞ってくれるのだ。ロッジ専用の広大な自然や野生動物を保護しつつ、ツーリズムとうまく融合させているのもまたアフリカの王者ならでは。壮大なスケール感で味わうアフリカの自然は得難い体験としていつまでも残る。
どこを切り取っても珠玉の絶景、
洗練ワイルドライフ
Sunset Dinner
ロッジ内のテラスに2人だけのテーブルセッティングで特別な夜を演出してくれるのがサンセット・ディナー。料理はアラカルトでもコースでも好みに合わせて用意してもらえる。アフリカ産ワインを多く揃えているのも特徴。アフリカでは夕暮れ時の一杯、アペリティフをサンダウナーと呼ぶ習慣があるので、冷えたドライマティーニやシャンパンなどのサンダウナーで初めて、陽が落ちた後の満天の星空を楽しむのもいいだろう。南十字星やカメレオン座、クジャク座など、南半球でしか見れない星座を見ながらのディナーはきっと格別なものとなるはず。静寂な星空の下、聞こえてくるのは動物たちの鳴き声だけ。そんな特別な体験を「シンギタ・ササクワ・ロッジ」で、ぜひ体験していただきたい。
旅の醍醐味といえばもちろん食、というエレメントは避けて通れない。未知の食体験=フード・エクスペリエンスという点においても「シンギタ・ササクワ・ロッジ」はアフリカの王者たる、ハイクオリティなホスピタリティでゲストをもてなしてくれる。全部で10室しかなく、料理と飲み物は全てインクルーシブ。全部ではない高額なドリンクは別途それだけに日々の食事は重要なのだが「シンギタ・ササクワ・ロッジ」では苦手な食材やアレルギーなどへの対応はもちろんのこと、専属のバトラーに伝えれば全てのディナーはオリジナルメニューにも対応してくれるのだ。例えば記念 日にロマンティックディナーや、お 部屋でのプライベートランチなどゲ ストの願いを叶えてくれる。何日も滞在していればパスタや肉料理などしっかりと味わいたい日や、ゲームドライブで疲れてサラダやフルーツだけで済ませたい日もある。
ホスピタリティについてまた、ワインセラーも充実しており、常駐するソムリエが常にワインを最高の状態に保ってサービスしてくれるだけでなく、セラーで説明を聞きながらテイスティングすることも可能。また、全ての料理には自家菜園の野菜を使用しており、新鮮なのはもちろんのこと、フードマイレージ的にもサスティナビリティな観点からも理想的だ。
「シンギタ・ササクワ・ロッジ」でのダイニング体験は早朝から始まる。まずは新鮮な朝採れ野菜を使ったブレックファーストから。ランチタイムはピクニック・ランチもいいし、料理スタッフが働くのが見えるインタラクティブ・キッチンに併設したダイニングルームも一度は試したい。インルームダイニングなら朝昼晩、何時でも好きなものを注文できる。特別なディナータイムならサンセット・ディナーの他にはアンティークな書物に囲まれて食事を楽しむライブラリー・ディナーや、現地の人々の民族音楽やダンスを鑑賞しながらのキャンドルライト・ ディナーなら、料理の味もより一層素晴らしいものになるはず。
Breakfast
朝日と共に食べる朝食は新鮮な野菜を使ったサラダやスムージー、フレッシュフルーツで始めたい。ロッジ内にある自家菜園ではサラダ野菜はじめ、人参などの根菜やタマネギなどさまざまな野菜を作っており、毎食の料理を華やかに彩ってくれる。
また、朝食とはいえアフリカの日差しは朝でも強いので、木陰の涼をもとめてテラスの好きな場所にテーブルを動かすことも可能。そうしたひとつひとつの細かい心配りがハイクオリティなホスピタリティとしてゲストを心から寛がせてくれるのだ。
ミートボールをフライにし、フレッシュトマトの酸味と旨味、バジルの華やかな香りでイタリア料理風のソースにしたメイン料理。素材を生かしたシンプルな味付けが好印象。
牛フィレ肉をグリルにし、ビーツをすりおろした赤いピューレ、ニンニクとローズマリーで味付けしたパリジェンヌ・ポテトの付け合わせ。牛肉のジュレが仕上げのソース。
インド洋で獲れた白身のバラクーダ(オニカマス)をオリーブを使ったソースとレモンバターで香りづけ、ハーブのクランブル、グリーンビーンズ、トマトとともに。
甘いコーンを生地に詰めてラヴィオリにし、豆を裏ごしした滑らかなヴェルートソースで仕上げたパスタ料理。アフリカらしさを残しつつも上品な一皿である。
アボカドのペーストにさまざまなナッツ類、クルーズソースを使った軽やかかつヘルシーな一皿。肉や魚を使わないベジタリアン料理。
デザートはチョコレートとピスタチオを使った2種類のジェラートの盛り合わせ。乾燥したアフリカでは冷たいデザートが心地よく、喉を潤してくれる。
Candle Light Dinner
ロッジの中庭に特別なディナーセッティングを設えてくれるのがキャンドルライト・ディナー。それは二人だけの完全プライベートディナーで、晴れた日ならばセレンゲティの広大な景観がゆっくりとオレンジ色に染まってゆく、スペクタクルな瞬間に出会えるはずだ。
また、食事の合間には現地の人々が伝統音楽やダンスを通じてアフリカ文化を伝えてくれる。
Afternoon Tea
近年は軽食としてではなく、きちんとした食事として質も見た目もゲストを楽しませてくれるアフタヌーンティが人気だ。「シンギタ・ササクワ・ロッジ」ではおしゃれなアフタヌーンティ台ではなくアフリカらしいプリミティブな木彫りの台が自然を感じさせてくれる。ミニオープンサンドやフルーツという素材重視の自然な味わいが体に優しい。
Wine Tasting
「シンギタ・ササクワ・ロッジ」はセレンゲティという大自然のど真ん中にいるというのに、専用のソムリエがワインを管理し、ゲストをワインセラーに案内してくれる。
シャンパンやボルドー、ブルゴーニュといったフランスの名醸ワインはじめ、南アフリカなど地元アフリカのワインも幅広く揃えており、ソムリエの説明を聞きながらのテイスティングもOKだ。まるでワイナリーにいるかのような雰囲気の中で味わうワインは格別な味わいだ。
Main lounge
メインロッジにあるラウンジでは日がな一日の自由な時間にくつろぐこともできるし、お茶や軽食、アルコール類などを注文することもできる。天気の悪い日や、長旅に疲れた時、ゆったりとくつろげるパブリックスペースがあるのはアフリカでの滞在には心強い味方だ。
冒険好きを虜にする
魅惑のサファリドライブ
プロフェッショナル・ガイドがサファリを案内してくれるゲームドライブではさまざまな動物に出会えるだけでなく、博識なガイドが植物や昆虫などアフリカの生態系そのものについて教えてくれる。動物を探し求めて終日サファリを旅したあとは、おまちかねのサンダウナータイム。ガイドとともに広大な大地に思いを馳せながら味わう一杯は格別の味わいだ。
「シンギタ・ササクワ・ロッジ」でのアクティビティのハイライトは、1日2回行われるゲームドライブだ。これは手付かずの自然が残るセレンゲティをプロフェッショナル・ガイドとともにドライブし、広大なサファリを体験するツアーだ。その場合、もっとも重要なのがガイドの経験と知識で、どんな動物に出会えるかはガイドの技量次第。
「シンギタ・ササクワ・ロッジ」は自らが管理する広大なサファリの中心部にあるので、移動中でもガイド同士はつねに動物の目撃情報など、情報交換を続けている。ゲストの要望にできる限りこたえようとして、野生動物との邂逅のチャンスを最大限まで高めようとしてくれるのだ。それこそがシンギタならではのホスピタリティの現れ。ゲームドライブではチーター、ライオン、ゾウ、バッファロー、ヒョウ、そしてグレートマイグレーションと呼ばれる数十万頭のヌーの大移動などを見ることができる。
ヌーの大移動は長期滞在しても見れない場合がある、貴重な体験だ。野生動物に限らず、植物や昆虫、鳥などアフリカの生態系そのものに精通したプロフェッショナル・ガイドとセレンゲティを旅した1日は生涯忘れられない思い出を残してくれるだろう。それこそがシンギタ創設者であるルーク・ベイルスが目指す100年続くプロジェクト。アフリカの大いなる自然を体感したゲストは、自然保護活動へと向かうケースも多い。単なるツーリズムではなく、人間としてのあり方にまで影響を与えてくれるような旅、シンギタがアフリカの王者と言われる真の理由はそこにある。