9世紀から15世紀にかけて続いたクメール王朝時代に築かれた
「アンコール・ワット遺跡」カンボジアの代名詞ともいえる
その歴史遺産が遺る都市、シェムリアップを訪ねる旅へ
ジャングルの中に立つ
並外れた王朝の証には今も神秘のパワーが宿る
クメール王朝時代には、王は神のような存在であり、神々が住む寺院を作る必要があった。前の王が建てた寺院を使用するとその王を否定することになるため、新しい王が誕生するたびに新しい寺院を建て、シュムリアップには多くの歴史遺産が残されている。世界遺産に登録アンコール遺跡群は名高いアンコール・ワットやアンコール・トムをはじめ、まだ知られぬ遺跡や石造寺院からなる遺跡群で、すべて合わせるとその数は千にも及ぶ。実際に遺跡を訪れるとその雄大なスケールとパワーにただただ圧倒され、悠久の時に思いを馳せずにいられない。シュムリアップには他にも、トレンサップ湖などの豊かな自然や、現地の生活を知るマーケットなど多彩な魅力もある。神秘なる歴史遺産と共にカンボジアの今を知る旅に出かけたい。
Amansara アマンサラ
心を浄化し、静寂に浸る特等地に佇むアマンリゾート
シェムリアップの中心地、かつてノロドム・シハヌーク国王の迎賓館だった「アマンサラ」は アンコール遺跡公園への入り口からわずか10分という絶好のロケーション。 聖域に佇むわずか24室のリゾートでは、滞在するほどに心が浄化されるだろう
かつて王の客人向けのゲストハウスだったアマンサラは、1960 年代の ニュー・ クメール建 築の傑 作とも 言われている白を基調にした洗練さ れたモダンな建物。レストランから 続くプールサイドの屋外テーブルで は、本場カンポジア料理を楽しみつ つ癒しのひとときを。夜は静寂のな かプールサイドがライトアップされ、 さらに神秘的なムードが高まる。
世界遺産に対峙する元国王の迎賓館で癒しの休日を享受する
Garden
アマンサラの名は、ヒンドゥー教の天女の名前 「アプサラ」から由来。カンボジアの君主・ノ ロドム・シハヌークの迎賓館として使われていた建物を、アマンが丹念に修復しつつさらに輝きを添えた。曲線的なプールやモノクロームな 空間はミニマリズムで統一。1960年代のフレン チスタイルを取り入れたアマンサラは、豊かな歴史と伝説を誇るクメール遺跡の訪問拠点として特別な存在になるだろう。ワールドベストアワードなど数々の賞を受賞しているのも特筆ものだ。全 24の客室は、スイート、中庭の見えるコートヤードスイート、専用プール付きの プールスイートの3タイプを用意。空港やホテルでの出迎えから部屋でのチェックイン、カンボジアで採れたウェルカムフルーツなど、もてなしの心に溢れた癒しの滞在が待っている。
Pool Suite
Dining Room
高い天井を持つ広々とした円形のダイニングルーム。ここでは市場や地元の農家から仕入れた食材を活用した料理をゲストに振る舞う。カンボジア料理は油や砂糖はあまり使用しないヘルシーな料理が多いため人気が高い。
Best Things To Do in Siem Reap
[シェムリアップすべき10の体験]
1. Angkor Wat [クメール建築の最高傑作世界遺産アンコール・ワット]
アンコール遺跡群が1992年に世界遺産に登録された当初は危機遺産とされていたが、法整備や遺跡群の修復に国をあげて挑み2004年に文化遺産として再登録。その中でも代表的存在が 「アンコール・ワット」だ。世界 3 大仏教寺院のひとつであり、クメールの王たちが儀式を執り行って宇宙と交信した天上 に最も近い聖域なのだ。その栄華を伝える美しき佇まいはカンボジア人のアイデンティティと誇りの象徴。精緻な装飾や建築のデティールから、古のカンボジア人の技術と崇高な精神がひしひしと伝わって来る。 自然条件を考慮して作られたので、季節や時間帯ごとに異なった表情を見せてくれる。ここに立ち入ると、12世紀から時を経ても力強さが衰えない、世界一の石造建築を細部にわたる彫刻から神秘のパワーを感じずにはいられない。
2.Ta Prohm [古代遺跡と樹木の 織りなす生命力]
タ・プローム遺跡は 12 世紀末、クメール王朝ジャヤーヴァルマン 7 世が母を弔う為に創建された仏教寺院。当初は5000人にも及ぶ僧侶がここで暮らし ていたが、後にヒンドゥー寺院として改修。樹齢300年にもなるガジュマルの樹木が力のままに遺跡を包み込んで絡み合い、その原形を想像することすら難しい。自然と遺跡の一体化こそが見どころであり、修復されたどの遺跡よりも荒々しく生命力にあふれ、神秘的なエネルギーを感じることができる。現在あまりに進み続ける遺跡の浸食に 修復も検討されているが「巨大な樹木は遺跡を破壊しているのか、それとも遺跡を支えて共存して いるのか?」とユネスコを中心に新しい議論がなされているのも興味深い。
3.Banteay Kdei [僧房の砦]
「クデイ」と呼ばれるヒンドゥー教僧院に12世紀末ジャヤヴァルマン7世が手を加え、仏教寺院として再建された、バンテアイ・クデイ。東西約700m、南北約500mの敷地内で増築を繰り返した結果、迷路のような構造になっている。通路は東から西まで一直線、奥まで見渡せる構図は不思議な世界に迷い込んだような気分になる。巨大樹の浸食を受け大きく張り出した根や蛇のように石畳の上を這う木々は、自然の力強さと、壮大な時間の堆積の象徴だ。
4. . Tuktuk [トゥクトゥクに乗って街中観光]
シェムリアップではタクシーやバスなどの交通機関がないため、トゥクトゥクが移動手段のメイン。街中のどこでも気軽につかまえることができ、心地良い風を感じながら快適に走れるが、行き先・料金を事前にしっかりと交渉するのがポイント。ちなみに料金は1台当たり街中$2 ~、シェムリアップ空港$5 ~8、アンコールワットのみ(朝日など)$7 ~10など。アマンサラでも専用のリモーク( トゥクトゥク) をエリア内の散策に利用できるので便利。
5. Market [カンボジアの文化に触れるマーケット]
シェムリアップを代表する3つのマーケット巡りも大きな魅力。市内中心部のパブストリート周辺にあるナイトマーケットでは雑貨や土産物店、飲食店やマッサージ店が密集し、そぞろ歩きが楽しい。食品や衣類から土産物まで揃うオールドマーケットでは、日本では馴染みのない食材がたくさんあり、現地の食文化に触れることができる。さらに150以上のテントが並ぶアートセンター・ナイトマーケットもあり、どこも手頃な値段で掘り出しものに出会える。
6. Cultural Experience [伝統的なクメールセラピー体験]
僧侶と行うスピリチュアルな祈りや森林での瞑想ウォーク、地元のパゴダで催す僧侶の読経など、クメール文化に触れて未知の世界への扉を開けてみるのもいい。国際的に有名なチベット・ボン仏教の精神的修士・学者であるゲシェラによる伝統的な仏教の古代レッスンでは、自分自身の求める心や精神の静寂を見つけられる。また、仏教僧と共に行うスピリチュアルなウォーター・ブレッシングは魂を清め、シェムリアップでの滞在を穏やかに始め、 穏やかに終えることができるだろう。
7. The Floating Homes on the Tonlé Sap
[トンレサップ湖の水上村へ小旅行]
シェムリアップから南に約10km下ったトンレサップ湖は東南アジア最大の湖。乾季でも面積およそ2700平方 kmと巨大で、日本最大の湖・琵琶湖の4倍の大きさがあるが、水量が増加する雨季にはその面積は3倍以上に膨張。時に1万6000平方kmにもなるというから驚きだ。海と錯覚しそうな湖には、2万戸以上からなる世界最大級の水上村が築かれており、この湖がもたらす豊かな恵みはカンボジア全土の人々の生活を潤しており、母なる湖として大切にされている。トンレサップ湖から見る残影は緋色に染まり、息をのむ程の絶景である。ゆったりとしたソファもあるアマンサラ専用ボートでの クルーズでは、専用のバトラーがアルコールやソフトドリンク、 スナックなどを用意。約1時間の小旅行、ゲストは冒険心をくすぐられながらリュクスな気分を味わえることだろう。
8. Cambodian Cooking Class [アマンシェフによるクメール料理教室]
ジャングルと寺院に囲まれた「クメールビレッジハウス」は、かつて王が沐浴した神聖なる場所として知ら れるアンコール遺跡群のひとつ。アマンサラが所有するこの由緒ある場所では、クメールの伝統的な朝食を楽しんだり、希望すればアマンのシェフによるクッキングクラスに参加することもできる。クメールの伝統料理や生春巻きなどのレシピをシェフと共有し、実際に自分た ちで作るエクスペリエン スは何にも代え難い楽しい時間だ。10世紀に作られた王家のプール 「スラスラン」を眺められる特等席でもあるこの場所で、クメールの食文化に是非、親しんでみたい。
9. Wellness [静けさ漂うアマンのSPA]
静寂に包まれたリラクゼーションプールや、スチームバスとシャワーを備えた 4つの施術室、ヨガスペース、少し隠れた場所にある25メートルプールと、充実した施設を持つアマンサラのスパ。セラピーではカンボジアの伝統的な技法と天然の製品が用いられ、自然の力を利用しながらの様々なホリスティックセラピーを個人のニーズに合わせて施してくれる。クメールビレッジハウスで施されるブラインドセラピストによるマッサージは、 アマン滞在中に是非、一度体験していただきたい。
10. Picnic Lunch [アンコール遺跡群前でピクニックランチ]
アンコール遺跡群近くの川沿いでのピクニックランチなど、青空の下でゆったりとした時間を過ごすのもいい。少し足を伸ばして、カンボジアのもっとも豊かな生態系の1つである広大なトレンサップ湖で様々な植物や魚、鳥の生態を鑑賞するのもいい。新鮮な食材とシンプルな調理を特徴とするカンボジア料理は、バナナの花と鶏肉のサラダ、ウズラ卵のスープと魚の干物、黒餅米のマンゴー添えなど、地元の食材をふんだんに取り入れ、滋味あふれる味わい。本場カンボジア料理を自然の中で満喫する時間はなんともいえない贅沢だ。スペシャルな記念日のためには寺院を貸し切り、生演奏とダンスパフォーマンスを取り入れたプライベートディナーを用意してもらうこともできる。