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レ スース ドゥ コダリー

Les Sources de Caudalie

私財を投げ打った一家の情熱 広漠たるワイン畑に包まれて

アートに溢れた壮観な葡萄畑に、ボルドー最上の2つ星レストラン
すべてを内包した稀代のワインリゾートは、
ファミリーの情熱によって保たれていた。

最先端のワイン醸造技術と、伝統的な手法を融合させ、新しいスタイルへと成長を遂げた当シャトー。ここでのワイナリーツアーにおいては、その情調を至る所に感じることができる。環境保全型の貯蔵庫や、伝統的な発酵タンク、床の隠し扉から繋がる、秘密のテイスティングルームなど、名実ともにトップクラスの実力を節々に感じることができるであろう。特にワインの香り華やぐ、圧巻のセラーは見ものである。ちょうど小誌が取材に訪れる数日前、来仏していた安倍首相が立ち寄り、こちらでのワイナリーツアーを楽しんでいたそうだ。ボルドーで今最も勢いのあるワイナリーであると言っても過言ではない。結果として、5つ星評価を獲得している同ホテルは「Small Hotels of the World」加盟の旗艦ホテルとなっている。また、フランスホテル最高峰の格付け「パラス」の認定を、ボルドーで唯一授与されているのだ。歴史あるシャトーならではの情緒を残しつつ、至るところに現代風の感性が散りばめられた、唯一無二のホテルがここボルドーに存在している。

「ワイン畑で眠りに落ちる」という、至極優雅な体験を実現できるこの客室。
調度品にも拘っており、絵画・骨董品等は、アキテーヌ地方のテイストで統一している。
テラスからは一面の葡萄畑が見える。

ボルドー市街の中心部から車を走らせて20分。広大なワイン畑に魅せられ、車窓を眺めていると、CHATEAU SMITH HAUT LAFITTE(シャトー・スミス・オー・ラフィット)の葡萄畑が見えてくる。ここ「レ・スース・ド・コーダリー」は、ペサック・レオニャンの格付けシャトーであるラフィットの敷地内に位置する、南ボルドーの稀代のワインリゾートなのだ。パラスランクに相応しく、ミシュランの星付きレストランや、有名なヴィノテラピー施設を併設したリゾートであるが、まずはシャトーの成り立ちを探ってみよう。

広大な葡萄畑の奥には、スミス・オー・ラフィットのシャトーが見える 。
シャトーツアーも可能なので、 予約をしてワインの醸造の秘密を探ろう。

部屋に入ると、ワインとフレッシュな葡萄がゲストへのギフトとしてテーブルの上に。
アメニティも葡萄を原料にした、コーダリーのオリジナルスキンケア商品だ。

本シャトーの歴史は、複雑の一途を辿ってきた。18世紀、名前の由来となったスコットマン・ジョージ・スミス氏が、本シャトーを購入したことに始まり、その後、18世紀後半には投機目的で、所有者が次々に変わるという時代があった。敏感なワイン作りにおいては、こうした姿勢はご法度である。そして、ワイン作りへの愛情が失われた運営体制で、シャトーの評価が地に落ちるという経緯があったのだ。そこで現在のオーナーである、カティアール夫妻が、私財を投げ打って買い取り、再建に尽力し、現在のボルドーNo.1のホテルの歴史が始まったのだ。元々、フランス国内でプロスキープレーヤーとして広く知られていた同氏だが、実父亡き後に引き継いだスーパーマーケット事業を巨大チェーンに成長させた。更にスポーツ用品店「Go Sport」も立ち上げ、欧米各国に拡大するグループにまで成長させている。そんな彼が、この環境に惚れ込み、全ての事業を売却して再建に取り組んだのが同シャトーである。その心意気もあってか、近代的な運営方法で見事に再建に成功し、今では世界的に高い評価を得ているシャトーとなっている。 ワイン作りに一番必要なのは、投機ではなく情熱だと痛感させられる事例だといえよう。

当シャトーを運営しているカティアールファミリーは、今でもシャトー内に居住し、精力的に運営を継続している。小誌の取材に応じ、ワイナリーツアーに案内してくれたダニエル氏の愛娘は、シャトー運営があくまでファミリービジネスであることを誇らしく語ってくれた。カティアールファミリーの拘りは、ホテル環境やレストラン作りまで徹底している。レストランやコテージスタイルの客室棟からは、白鳥の泳ぐ池や、風に揺らめくワイン畑を眺めることができ、都会で疲れた心にとって至上のデトックスになること請け合いだ。ボルドーといえば、誰しもが名をあげるリゾート、旅慣れた大人がフランスに滞在するならば、このようなシャトーホテルにも足を運んでみてはいかがだろうか。一面の葡萄畑に囲まれて、長閑に暮らすように旅ができるだろう。

「コーダリー」の名前は、化粧品領域においても響き渡っている。特徴は葡萄の種と木、実のポリフェノール類の効果について研究を続け、アンチエイジングへと活用していること。
ボルドー大学薬学部と契約し、研究の末、生まれた化粧品ブランド「コーダリー」は、フランスだけでなく、世界中で大変人気である。
リゾート内の「コーダリー・ヴィノセラピー・スパ」ではリゾート限定のメニューも体験できるため、体の外側からも葡萄で癒されてほしい。

一度は夢見る葡萄畑のレストラン
日々進化する料理は、3つ星が近い

「ラ・グラン・ヴィーニュ」日本語に訳すと”偉大なぶどう畑”という名のレストラン。名の通り、葡萄畑の目の前に位置する、ガストロノミックレストランとして、ミシュランの星を2つ獲得している。2009年夏から就任した、総料理長であるニコラス・マッセ氏。彼はクリエイティブでありながら伝統的な料理を作り出すために、素材の持つ滋味を最大限に活用することで有名である。特に地元の食材に対して拘りがあるようだ。彼は最高級の食材とは、 ベストタイミングの旬の食材としている。各素材の本質的な味を際立たせた、料理は奇をてらわず、クラシカルでありながら洗練された料理になっている。その結果、2010年、彼は早々にミシュランの星を1つ獲得し、2015年に2つ星に昇格したのだ。ボルドー地域には3つ星は存在しなく、2つ星は3つのみ。ここが唯一の3つ星になる日も近いだろう。インテリアは18世紀の装飾的な温室に触発されており、洗練されているが、どこか長閑で控えめだ。ワインセラーには、およそ15,000本のワインが貯蔵。天気のいい日はボトルを選んで、テラスに向かえば、目の前は葡萄畑と、旬の食材を使用した一皿。これこそワインリゾートの醍醐味だ。

Chef Nicolas Masse

シェルブール出身のニコラス・マッセ氏は、 ノルマンディーでキャリアをスタート。 その後、彼はロンドンのザ ランドマークやフランス・サントロペの ヴィラ ベルローズなどで経験を積み、バスク地方のグランド ホテル のメインレストラン「L’Ocean」の料理長に就任。2007年に初めてミシュランの星を獲得する。そして2009年夏、カティアール夫妻の熱望に応え、レスースドゥコーダリーの「La Grand’Vignes」の料理長に就任し、現在2つのミシュランの星を獲得している。

ホテルから貸し出し可能な自転車に乗って、ワイン畑をサイクリングするだけで、ボルドーという豊潤な土地にひたれること間違い無し。数々の現代的なアートを飾った遊歩エリアもあり、滞在中の心に潤いを与えてくれる。

レストラン「ラ・グラン・ヴィーニュ」のオーガニックガーデン。ここでは、料理に使用する野菜、果物、ハーブ類が栽培されている。さらに毎朝、新鮮な卵料理をゲストに提供する為に、専用の鶏小屋まである。

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