ポルトガルの首都リスボン
大航海時代の華やかな面影を今に伝える豊かな歴史遺産が点在している。
大航海時代の英雄に思いを馳せ、郷愁に浸る
東洋の香辛料貿易を独占し、一大海洋王国として空前の繁栄を謳歌したポルトガル。その首都リスボンの歴史は紀元前 1000 年頃、フェ ニキア人の港が築かれた頃まで遡り、その後のローマ時代、ムーア人の時代と支配者が代わる度に街は名前を変え、激動の歴史を歩んできた。15~16世紀の大航海時代では、バスコ・ダ・ガマ、 マゼラン、コロンブスなど、錚々たる遠征者がリスボンから旅立ち、現代でもポルトガル黄金時代である大航海時代、イスラム支配の時代、古代ローマ時代など、様々な情緒を街の随所に感じることができる。なにより、ユーラシア大陸の最西端に位置し、大西洋の大海原に面した郷愁に満ち溢れた情景が、この街になんとも言えない彩りを添えている。丘の上にそびえる サン・ジョルジェ城から眼下に広がるのは、白壁にオレンジ屋根の家が並ぶ美しい街並み。夕暮れ時、西日に染まる一帯は、見ているだけでノスタルジックな思いが溢れてくる。
リスボン最高峰のホテル旅の思い出を輝かせてくれる
Lobby
リスボンの中心部に位置する「フォーシーズンズホテル・リッツ・リスボン」は、1959年、 ポルトガルの首相、大統領であり、そして独裁者となったアントニオ・サラザール氏の夢によって建設された一大ラグジュアリーホテル。多くの調度品はクラシックスタイルで統一され、カーペット、絵画、彫刻の数々が空間に華を添え、館内はまるで美術館かと見まがうほどだ。目の前にエドゥアルド7世公園が広がるロケーションは視界を遮るものが何もなく、客室のバルコニーからは素晴らしい眺望が望める。屋上にはフィットネスセンターのほかランニングトラックが併設され、天空のジョギングで朝をスタートできるのも魅力だ。スイート41室を含む全282の客室は、洗練された18世紀のフランススタイルとアールデコの幾何学を組み合わせ、エレガントで心地いい。ホテル館内は現代の地元の著名アーティストの作品で埋められ、ポルトガルで最大ともいえる現代アートコレクショ ンを鑑賞できる。ポルトガルの精神と美意識を随所に鏤めたこのホテルでの滞在は、ポルトガルをより良く知る手がかりになるだろう。
【Royal Suite】
【Presidential Suite】
Gastronomic Experience
【VARANDA RESTAURANT】
多くは知られていないが、日本人には馴染みやすいと言われるポルトガル料理。「フォーシーズンズホテル ・リッツ・リスボン」では4つのダイニングスポットで人気の魚介を使った郷土料理やシェフの技が効いた一皿を楽しませてくれる。
ホテルのダイニングスポットも客室同様、また美しい。地元のシーフード料理が評判のメインダイニング「Varanda」は、店名の由来でもあるオープンエアのベランダ席が人気。きめ細やかなもてなしや卓越したサービスも評判で、政治家や著名人、ジェットセッター達もこぞって訪れる名店だ。タスマニアやカナダ、パリのミシュラン星付きのレストランで研讃を積んだエグゼクティブシェフのパスカル氏が織りなす珠玉の一皿は見た目も美しい。その脇を固めるシェフパティシエのファビアン氏もヨーロッパ各国のミシュラン星付きレストランで修行を重ね、彼の作り出す独創的なスイーツを目当てに来るゲストも多い。陽光が射し込むランチタイムは、定番のポルトガル料理や寿司などの和食、パティシエ特製のデザートなどを楽しめるビッフェスタイル。よりロマンチックな雰囲気に包まれるディナータイムは、ダックフォアグラとチェリーなどの前菜、豊富な魚介料理、アイルランド産牛のテンダーロインや子豚と野菜のピクルスなどの肉料理を楽しめる。また、終日利用できる「リッツ・バー」では、豪華なシーフードの盛り合わせ「プラッター」 やアラカルトメニューも幅広く用意。オレンジ色に染まる夕暮れやキャンドルの灯に誘われる夜は、 リスボンの街をイメージした「 テイルズオブリスボンカクテル」などを一杯、嗜みつつまどろみたい。
エレガントな空間と卓越したサービスに加え、前面に広がるエドゥアルド7世公園、テージョ川やサン・ジョルジェ城など、街のランドマークである景色を眺められる。
【RITZ BAR】
シックな「リッツ・バー」では、豊富なワインリストやシーフード料理のほか、リスボンや周辺都市の食材や遺産、文化にヒントを得た月替わりの特製カクテルを楽しめる。
Best Things To Do in Lisbon
1. Vintage Buggy Tour [ヴィンテージバギーで街探索]
狭い迷路のように細い路地が入り組み、随所に日常の風景が垣間見れるリスボンでは、トラムに乗って街の素顔を知るのがおすすめ。ホテルからはヴィンテージバギーのサイドカーも出ているので、石畳を縫うように走りながらのリスボン観光に出かけたいサン・ジョルジェ城や昔ながらの生活を垣間見れるアルファマ地区、花いっぱいのバルコニーやカラフルな壁面が映え、夜になると賑やかなバーや伝統的なファドハウスが出現するバイロ・アルト地区など、気に入った場所に寄り道しながら気ままに旅をしよう。美しい街並みを巡るツアーはこの上なく爽快な旅の思い出になるに違いない。
2. Sintra [おとぎの国の城 ペーナ宮殿]
リスボンから西へ約30km、標高500mを越すシントラ (Sintra) は格好の避暑地であり、街そのものが世界遺産である。かつては王室の夏の離宮も置かれ、 イギリスの詩人バイロンに「この世のエデン」と称された街で、ユーラシア大陸最西端のロカ岬への観光拠点にもなっている。「シントラの文化的景観」の 名前で世界遺産に登録されている主な場所は、シントラ宮殿、ペーナ宮殿、ムーアの城跡、レガレイラ宮殿など。なかでも「ペーナ宮殿」は東側がピンク で西側は黄色と、なんとも斬新なコントラストのカラフルな城でインパクトは絶大。「ムーアの城壁」は色合いは落ち着いているが形が特徴的で、ここから 見えるペーナ宮殿も素晴らしい。夏の避暑地として王侯貴族に愛され続けた町並みを訪れたい。
3. Belém Tower [テージョ川の要塞ベレンの塔]
ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見を記念して、1515年から1521年にかけてマヌエル1世の命により建造された「ベレンの塔」。テージョ川河口を外敵から守る要塞の役目も果たすため監視塔が設置され、5層建築のうち上部は王族の居室、地下には水牢がつくられ、世界遺産に認定されている。作家の司馬遼太郎氏が美しいその姿を『テージョ川の公女』と表現した事でも有名だ。ベレンの塔のあるベレン地区には、リスボン中心地よりトラムで 30 分。同じく世界遺産の「ジェロニモス修道院」や、1960年にエンリケ航海王子の没後500 年を記念して建てられた「発見のモニュメント」などもあるので、ぜひトラムに乗って足を伸ばしたい。ベレン名物のパステル・デ・ナタ(エッグタルト)も本場でぜひ味わっておきたい。
4. Jeronimos Monastery [大航海時代の象徴ジェロニモス修道院]
大航海時代の歴史的建造物が残るベレン地区の中心にそびえる「ジェロニモス修道院」は、ヴァスコ・ダ・ガマとエンリケ航海王子の偉業をたたえ、1502 年にマヌエル1世の命により着工された。当時のヨーロッパでは最先端であったゴシック建築をベースに、イスラム建築のドームや出窓を取り入れ、華やかな装飾を施したこの修道院は「マヌエル様式の最高傑作」と称され、世界遺産に認定されている。東方貿易や植民地支配で得た莫大な富が投入され、最終的な完成まではおよそ300年もの歳月が費やされたという。聖母マリア像を中心に24体の聖人や高位聖職者の像が並ぶ南門や、中庭を取り囲む2階建ての回廊は素晴らしく、ゴシック建築らしい重厚感と荘厳さに、すべてを包み込む優しさと力強さを感じずにはいられない。
5. Parque Eduardo VII [広大な芝生広場に憩うエドゥアルド7世公園]
1902年、イギリス王エドワード7世のリスボン来訪を記念して造られた壮麗なフランス式庭園。公園名の「エドゥアルド7世」は「エドワード 7世」のポルトガル語読みになる。リスボン市街のほぼ中央、ポンバル侯爵広場前からさらに上へと続く斜面を利用しており、両側に伸びる遊歩道に挟まれた中央部分は左右対称の幾何学模様の芝生の刈り込みが実に美しい。丘の上にあがって振り向くと、広大な芝生広場の先にはテージョ川が見晴らせ、海洋都市リスボンを 感じる一幅の絵のようだ。名称は公園だが、もちろん遊具などは皆無。リスボン市民のオアシス的な憩いの場として愛されている。都会の喧騒から逃れる静かな公園で、ポルトガルの歴史や先人の活躍に思いを馳せるのもいいだろう。
6. Cherry Liquor [チェリー酒「 ジンジャ」 を楽しむ]
ポルトガルといえば北部にあるポルト地方名産のポートワインが有名だが、首都リスボンにも市民に愛されている名物酒がある。それがジンジャ(Ginja)だ。ジンジャとは、さくらんぼを砂糖、ブランデーに漬けて作るリキュール酒。リスボンで はどこのカフェやバーでも飲むことができ、ロシオ広場周辺には行列をなす人気店が点在。グラスをその場でクイッと1杯ひっかけるのが本場流だ。とても甘いがアルコール度数は20%前後と高めなのでご注意を。
7. Time Out Market Lisbon [タイムアウトマーケットで地元人気店]
2014年のオープン以来、地元客にも観光客にも高い人気を博しているのがタイ ムアウト・マーケット・リスボン。合計60店舗以上が出店するフードホールで、 出店テナントは話題の人気店ばかり。リスボンで成功を収めたことから、アメリカ、カナダ、ドバイなど世界各国での展開を加速して いる、今、最注目のグルメスポットだ。
8. Cafe A Brasileira [100年の歴史を持つローカルカフェ]
シックな色合いの木材をふんだんに使用した店内は重厚感あふれるクラシカルな雰囲気
高級ブティックやアートギャラリーなどが立ち並ぶシアード地区にある 「 カフェ・ア・ブラジレイラ 」 は、1905年創業の老舗カフェ。当時、リスボンの家庭で受け入れられていなかったエスプレッソに似たコーヒー「ビカ(Bica)」を売る最初の店だったのだとか。カフェのほか自慢のポルトガルスイーツや軽食も。朝8時から営業しているので朝食にもおすすめ。
9. Oil Sardine [ポルトガルの定番オイルサーディン]
大西洋に面したポルトガルはヨーロッパ 諸国の中でも魚の消費量が多く、昔から保存食として魚介類の缶詰が生産され ている。マーケットでは種類豊富な缶詰コーナーがひときわ目を引くが、中でも定番人気はオイルサーディン。北大西洋で 獲れた身のやわらかなヨーロッパマイワシを、オリーブオイルにつけたポルトガル定番の味は、栄養価も高く、カナッペやオーブン料理などレシピも幅広い。パッケージも可愛いものが多いのでちょっとしたお土産に喜ばれる。