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ホテル マリマリ

Hotel Mari Mari

南半球の秘境に遊ぶ
氷河が作り上げた野生の王国

南米の南、パタゴニア。その先は南極という最果ての地は氷河が作り出した海岸線が美しい。豊かな森に包まれ海原を眼前に見るプライベートヴィラは静謐に満ち、俗世界とは途絶した究極の安らぎをもたらす。

ホテルマリマリ | ロスムエルモス チリ

地球は時に荒々しく、人間がいかに小さな存在かを知らしめる。太古の昔に置き忘れてきた自然への畏敬の念を思い起こし、あるがままの世界と対峙することで、内なる生命の力が再び蘇る。パタゴニアへの旅は、いわば命の洗濯である。南北に長いチリは北は砂漠、南は森と湖に彩られている。チリの最南端を含むパタゴニアは、アルゼンチン側は乾いた不毛の大地、チリ側はフィヨルドが複雑に入り組んだ地形と全く異なる顔を見せる。チリのパタゴニアは、南米という言葉から思い浮かべるイメージよりも、北欧のそれに近い。水と緑、そして常に吹く偏西風が雲を動かし、景色は刻々と変わり、二つと同じ眺めに遭遇することはない。首都サンティアゴから南へ1100あまり、太平洋岸のロス・ムエルモス村の近くに位置するホテル「マリマリ」は、‌に及ぶ海岸線に沿ったおよそ36km²の緑豊かな土地に棟のゲストヴィラを擁する。車道から遠く離れ、ヴィラに滞在する者以外は誰も立ち入らない、完璧に外界と遮断された静謐の土地。聞こえるのは絶え間なく打ち寄せる波の音と鳥の声。時折、馬の嘶きも加わる。パタゴニア固有の自然と先住民が守り伝えてきた文化がひっそりと息づくアナザーワールドだ。先住民マプチェ族が、訪問者を家族のごとく迎え入れることを意味する挨拶の言葉、“マリマリ”が示すように、ゲストは温かく穏やかなホスピタリティに包まれて、自然の懐に抱かれることを享受する。

大地に寄り添う大人の隠れ家
ここは自然を愛でるためのVilla

手付かずの自然を求めて世界各地を訪れたことがあっても、マリマリでの滞在はそれまでの経験とは全く異なるものとなる。その第一の理由がヴィラのロケーションだ。完全なプライベートが確保されたゲストヴィラは、木立に囲まれ、ビーチを見下ろす位置に立つ。目に映るのは木々の緑と空と海のみ。

健やかな睡眠のためにあらゆるディテールにこだわったベッドルーム。大きな開口部、高い天井は開放感をもたらし、天然木を中心にした落ち着いた色調は心を穏やかに整えてくれる。何よりも柔らかく、さらりとした肌触りのベッドリネンは至高の寝心地だ。

しかし一日の間に四季があると言われるこの地域の景色は日中眺めても飽きることはない。雨が降ったかと思えば風に雲が吹き流され、さっと陽光が差し込んでくる。日本が冬の時期がこちらの夏だが、気温は高くても度前後で、夜は暖炉の温もりが心地よい。地元産の木材と石材をふんだんに使ったヴィラはその外観も内装も自然に溶け込み、開口部は大きくガラスを通して外界とシームレスに繋がる。石張りのポーチやウッドデッキテラスなど、気分に合わせて好きなロケーションで時間を忘れてゆっくりと過ごすのもいい。これこそが何をおいても贅沢なひと時なのだ。

広々としたポーチがオーシャンフロントヴィラの魅力の一つ。前庭の緑の向こうに広がる海を見つめるサンセットタイムは格別だ。沈む夕日とともに味わうアペリティフは忘れ得ぬ思い出となる。

もう一つ、マリマリが大切にするのは、睡眠の時間である。日本人は世界の他の民族に比べて睡眠時間が短いというが、本来、人に必要な睡眠時間は時間とされる。深い眠りと浅い眠りを繰り返しながら自然に目覚めるのが入眠から時間後。その時間のために、寝室の色調、装飾やカーテン、室温に至るまで、考え抜かれて設えられている。もちろんベッドとベッドリネンは言わずもがなだ。日中はアクティブに過ごし、心地よい疲れを睡眠で癒す。至極真っ当で、しかし忘れがちなこのリズムを体が欲していたことに気づかされる。しかも、このリズムをしばらく続けることで体は完全な復活を遂げる。だからマリマリでの滞在は一週間は欲しい。ここを離れる頃には体は軽く、感受性は研ぎ澄まされていることに気づくだろう。これがマリマリ効果である。

ヴィラのエクステリアには薪によるホットタブがあり、毎日午後、スタッフが適温に仕立ててくれる。夏でも気温が20度ほどしか上がらないゆえ、夕方はホットタブで体を温めてリラックスできるのが嬉しい。

ヴィラには、広々としたリビングルーム、ダイニングエリアとオープンキッチンが備わっている。外でのアクティビティの合間にオールインクルーシブのワインやクラフトビールと軽食でのんびりプライベートタイムを楽しむのもいい。パタゴニアに暮らすように宿泊する、それこそ、マリマリ・ステイの最大の魅力だ。

地の利を活かした美食体験
自然食の概念を覆す華やぎの一皿

全ての快適の根元には食がある。食が充実してこそ、活力が漲る。しかも体と心その両方を同時に満足させなければならないというのがマリマリのフード・フィロソフィだ。基本的な食材は自家菜園から得る。森の中を開拓した有機栽培の農園だ。緑肥や現地では伝統的な海草の肥料を使い、繁殖行動抑制による害虫駆除法を採用するなど古来と最新の技術を組み合わせている。

そして最も重視するのは、マプチェ族が培った食材の薬効を最大限に引き出すメソッドだ。野菜、果物、香草などあらゆる作物が秘めた効能を料理に生かすことこそ、マリマリ独自の食エクスペリエンスの根幹である。さらに加えて、近海の新鮮な魚介、自然飼育の肉類も全て地元産にこだわる。

卵入りの柔らかな手打ちパスタ、フェットゥチーネにピリッと軽い辛味が心地よいアラビアータソースの組み合わせ。新鮮なトマトが濃厚な旨みを与える満足度の高い一皿。

フレッシュなホタテは、その柔らかさ、優しい甘みが身上。コクのあるまろやかなベシャメルと合わせたグラタンは、絶妙の火入れでホタテの持ち味を最大に引き出している。

野菜のほとんどは自家菜園から。にんじんのクリームスープは、野菜の甘みに驚かされる。オリーブオイルとカイエンヌペッパーがアクセントを添え、滋味が一層強くなる。

チリは魚介の鮮度の良さ、種類が豊富なことでも知られ、甲殻類もさまざまな料理に登場する。香味野菜やスパイスとともに軽くソテーしたエビは、ぷりぷりの食感が堪らない。

たっぷりと厚みのあるサーモンに卵を絡めてソテー。こんがりとした焼き色が食欲をそそる。キヌアサラダに色とりどりのエディブルフラワーの付け合わせは目にも楽しい。

シェフを務めるダニエラ・フローレスはこうした豊かな食材を使い、伝統的な調理法をベースに、先進的なアプローチで驚きのある皿に仕立てる。とりわけ、野菜やベリー類、スパイスの使い方は独創的で、ゲストには常に新しい味を提供するというのが信念だ。自然の恵みに満ちた料理には、やはり自然の恵みであるワインがふさわしい。チリは南米随一のワイン産地であり、国際品種で造られるワインは価格の割に評価も高い。果実味豊かなチリワインと、野菜や香草が生き生きとした料理のマリアージュは、味わうほどに滋養を感じさせる、美食の極みである。

トマトとモッツァレッラのカプレーゼサラダは、シンプルでありながら素材の質が如実に現れる一品。モッツァレッラのミルキーな味わい、トマトの甘みを存分に堪能したい。

素材の良さを味わうのであればグリルが一番。弾力がありながら柔らかなタコは、噛み締めると旨みがじわりとほとばしる。軽い酸味のサワークリームとの相性もまた抜群だ。

香り高いチョコレートと濃厚なマンゴーの二層仕立てのムースにパッションフルーツのソースを合わせたデザート。フルーツによく合う極上カカオの余韻が印象的な一皿。

ラズベリージェラートを添えたラズベリーのタルトは、甘酸っぱいベリーの爽やかさ、タルト生地のほろほろした食感が夢見心地を誘う。エピローグにふさわしいデザートだ。

粗くマッシュしたポテトを添えた牛肉のブレイズド。じっくりと煮詰めたグレイビーと柔らかく蒸し煮した牛肉の旨みが絶妙。凝縮したチリの赤ワインとともに味わいたい。

Wonder Experiences in hotel Mari Mari
The Scenery Here is Absolutely Gorgeous

Horseback Riding

海辺から森に至るマリマリの豊かな自然を探索するのであれば、何をおいても乗馬が良い。自分の足で歩くよりも目線が高くなり、新しい景色を見ることができる。手入れの行き届いた賢い馬は、乗り手の気持ちを察知して進んでくれる上、たとえビギナーでも熟練のガイドが細やかな配慮を施すので不安はない。短時間のトライアルから本格的なホーストレッキングまで希望とレベルに合わせて選択が可能だ。同行するガイドがパタゴニア特有の植物や動物についてレクチャーもしてくれる。

コースはガイドと相談し、例えば森の中をゆっくりと散策したり、海岸沿いをギャロップで駆けてみたり。スタッフが海岸で開催するレースを観戦するのも楽しい。

Boat Adventure

チリ・パタゴニア固有の地形的特徴の一つが、氷河の侵食による複雑な海岸線。群島が密集した海は変化に富み、自然の大きなエネルギーを間近に感じられる。そんな体験をするのならやはりモーターボートだ。カヤックやカヌーもいいが、長い移動にはハードルが高い。その点、ボートならば小回りも効きながら、行きたいところへ自在に行くことができる。45フィート・ボートには2名のクルーがつき、海の動物たちの居所へと案内してくれる。パタゴニアの名付け親である冒険家マゼランの名をいただくマゼランペンギンの群れや岩場でのんびりくつろぐアシカなど、南極に生息する生き物の自然な姿は、忘れ得ぬ思い出となるだろう。

天候や季節によって、出会える野生生物は違う。二度と同じ体験ができないというのもまた魅力だ。もし間近にクジラが現れたらそれはまごう事なき幸運である。

Stargazing


世界の人口の9割以上が北半球に集中しており、大勢の人間の暮らしのための人工的な光は、本当は夜空に輝いているはずの無数の星をないものとしてしまっている。その事実をあらためて知らしめるのが、マリマリから見上げる夜空だ。広大な私有地を持つマリマリは周囲に民家はおろか、車が通る道もない。そのおかげで本来あるべき無垢の星空を見ることができる。南半球ゆえ北極星や北斗七星がない代わりに南十字星が見え、何よりも雲のように白くまばゆい天の川が素晴らしい。意外なほど早く動く星の動きに、時を忘れて見入ってしまうのだ。

Garden tour

マリマリがもっとも大切にしているのが自然保全と当地に息づく伝統である。オーガニックの農園はその一例だ。目的は土地が育む植物を暮らしの糧としてきた先住民族の文化を守ること。始まりは2010年、小さな畑から少しずつ広げ、今ではマリマリのレストランを支える重要な柱となっている。森に囲まれた小高い丘で、野菜、果物、ハーブや花など様々な植物を栽培し、伝来の農法に従って季節に応じて育てる植物を替え、グリーンコンポストだけでなく海藻も肥料として使う。この農園ではそんな受け継がれてきた人智を具に知ることができる。

Helicopter Tour

マリマリならではのエクスペリエンスといえば、ヘリコプターに乗っての空からの探検をおいて他はない。マリマリ所有のプライベート・ヘリで希望の時間、希望の場所へ案内してもらうのだ。土地を知り尽くしたパイロットによる誘導で、海岸線や森を俯瞰で眺めると、はるか昔から続くゆっくりとした地形の変化が手に取るようにわかる。地球は生きているという事実には感動を覚えずにいられない。パタゴニア自然探索の他に、遺跡や先住民の残した文化遺産を訪ねたり、サンセット・フライトなどもアレンジが可能。記念日のスペシャルなギフトにもなるだろう。

Flyfishing

フィッシングは自然との対話である。特にフライ・フィッシングは、魚の生態を知り、季節や天候に応じて魚の好む毛針を選び、キャスティングの腕で魚を誘い込む。スポーツであると同時に、知的好奇心を掻き立てられるアクティビティだ。パタゴニアはフライ・フィッシングのメッカとして知られ、特に氷河が生み出した森の中の渓流は魚種が豊富で、通常、人の立ち入らない地域でもあることから巨大なニジマスや、産卵で遡上したサケにも遭遇することも少なくない。また、海でのフライ・フィッシングも可能だ。ガイドに相談してその時期にベストな場所でトライしてみよう。

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