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ムニ京都

MUNI KYOTO

京千年の別荘地の絶景と
至極の現代フレンチの協奏

古より高貴な人々が風情を求めて度々訪れたという嵯峨嵐山。その豊かな自然は今もなお、見る者の心に深い安らぎを与えてくれる。「くまなき月の渡るに似る」と亀山上皇に歌われた。渡月橋と桂川の絶景と共に美食を愉しむひとときは、京都旅の新しいハイライトである。

MUNI KYOTO | 京都市 右京区 嵯峨天龍寺 京都府

源氏物語で、光源氏との道ならぬ恋に疲れた六条御息所が伊勢神宮の斎王となる娘を伴い、潔斎のために赴いたのが嵐山の野宮神社。平安の昔から貴人が別荘を構えたという野趣のある土地である。今もなお嵐山は、街から少し足を伸ばしただけでたどり着ける、穏やかな自然溢れる界隈。天龍寺を始めとする名刹も多く、なによりも桂川にかかる渡月橋の佇まいが実に雅だ。この渡月橋の北詰に2020年8月に誕生したのが「MUNI KYOTO」である。桂川に沿い、隣接する福田美術館と同じ伝統的な京都の家屋の意匠を取り入れた建物で、背後の低山に溶け込むように控えめなところが、奥ゆかしさを大切にする京都らしい。そして、その名の通り唯一無二の景色、すなわち渡月橋と桂川の朝な夕なの姿、四季折々の変化を堪能できるのがこの宿の最大の魅力の一つである。もう一つの魅力はフランスの食の巨匠アラン・デュカス氏が設立したデュカス・パリによる二つのレストラン。コンテンポラリーキュイジーヌを提供する「MUNI ALAIN DUCASSE」、桂川を眺めながら朝食やアフタヌーンティーがいただける「MUNI LA TERRASSE」を備えている。さらには旅の思い出に持ち帰ることのできる焼き菓子やチョコレートのショップもある。二つと無い絶景と最高峰のフレンチを一度に味わうという、嵯峨嵐山の新しい魅力を満喫できる宿である。

Garden Terrace

現代美術を思わせる黒い石庭の妙を愉しむ

間と余白」、書画を始めあらゆる日本の芸術の基本概念とも言えるこの二つをコンセプトにしたというMUNI KYOTO。それを端的に表現しているのが客室だ。天然木、そして西洋と東洋2種類の漆喰を用いた、水墨画を思わせるような淡いトーン。ミニマルで均整のとれた空間は落ち着きをもたらすと共に、視線を窓の外へと誘う。全面窓の先に広がる、このホテルが最も大切にする美しい景色に自然と目が惹きつけられるのだ。もし、より親密で心休まる部屋を好むのであれば、一階の「ガーデンテラス」が良い。数億年前に海底から隆起した岩石が元になっている嵐山の景観をイメージした、「黒の庭」と呼ばれる主庭の見事な造作を具に眺められるロケーションで、テラスに座り、せせらぎの音を聞きながら眼前の石の波を見つめていると、日常の疲れから解放されていく。また、他のほとんどの部屋のバスルームは奥まった位置にあるが、「プレミアツイン」のバスルームは専用の坪庭に面しており、緑を感じながらのんびりと湯浴みを楽しめるようになっている。湯上がりには、窓辺のソファに身を横たえてひと休み。遮音性が高いゆえ、窓を閉めていれば外からの音はほとんど聞こえず、静かな時を過ごすことができる。時間と空間という二つの間が作り出す最上無二のステイが期待できる部屋だ。

京都の町家に見られる伝統的な設いの一つ、坪庭。この小さな景色を主役に据えたバスルームは、白いバスタブのほかは余分なものを排した限りなく無に近い空間である。湯にゆったりと身を沈め、何も考えず「間」と「余白」が与える微細な感覚を受け止める。そんな瞑想のひとときを過ごすのも良いものである。

景観をホスピタリティの一つと考えるMUNI KYOTOは、作庭にも物語性を注ぎ込んだ。嵐山の独特の景観は、数億年前の海底に堆積したチャートと呼ばれる岩石が隆起して形成されたもの。その世界観を投影しつつ、桂川の流れや小倉山、嵐山の植生を再生した池泉式庭園である。黙してただひたすら眺め、時間と雄大な自然が作り出した壮大な物語に思いを馳せてみたい。

River View

庭園と造形美と嵐山の自然が織りなす麗姿を望む

二階の「リバービュー」は文字どおり、大開口の窓から桂川と渡月橋を望む部屋。庭園の植栽とその先の景観が見事に一体をなし、庭と自然を慈しむ京都のさりげないこだわりを感じる。室内からも十分にその眺めは楽しめるが、テラスに出ればさらに桂川の水の煌めきや木々の葉のざわめきを肌で感じることができる。眺望を最優先にした客室ではあるが、実は窓にかかるオレンジブラウンのレースカーテン越しに外の様子を伺うのも御簾越しに庭園を眺めるような風情。ディテールへの心配りには舌を巻くばかりだ。振り返って今一度部屋を見やると、最大で4.5m近くもあるという天井高のおかげでゆったりとした雰囲気。殊に「プレミアツイン」はより一層広々とした空間で寛げる。テラス、室内、それぞれの心地良さを味わいたい。

バスアメニティは水尾の柚子や北山杉といった京都古来の植物のエッセンスをベースとしたオリジナル。ほのかな香りが心地よい。

漆喰と天然木が温かみを醸し出すインテリアは、窓から見える嵐山の借景とよく馴染み、ソファに座っていると自らもその景色の一部になったような気さえしてくる。しかも床全体を冷温する最新のシステムは快適な上に音も非常に静かで夢想の時間を邪魔しないのだ。とはいえ、やはりテラスからの眺望は格別。シャンパンをお供にせせらぎを聞きながら樹木を渡る風を感じる。愉悦のひとときだ。

MUNI ALAIN DUCASSE

日本随一の美食の伝統を誇る京都は、食に対する懐が深く、また独自の食材も豊富。フランス料理界の泰斗アラン・デュカス氏がこの地を選んだのは当然とも言える。しかも、素材を覆い隠すソース遣いを好まず、本来の持ち味を的確に引き出す手法は、日本の料理に通じるところがある。デュカス氏の薫陶を受けたシェフ、ユーグ・ジェラール氏は京都の伝統的な食材を用いて、地元の生産者との関りを大切にし、テロワールを重んじた料理をメインダイニング で展開する。ディナーでいただけるのは京都産の野菜を中心としたコース、または日本各地の選り すぐりの素材を集めたコース。西洋に比べ日本の食材は風味が繊細ゆえ、 塩梅には最新の注意を払っているという。料理の一皿一 皿、プティフールに至るまで徹頭徹尾デュカス氏の料理美学が貫かれた世界を京都で堪能する。

鮮やかな赤がモノトーンの壁に映えるスタイリッシュな空間で供されるのは、10年以上に渡りアラン・デュカス氏のフィロソフィーを実践してきたユーグ・ジェラール・シェフによる料理。京都丹波の平井牛は岩塩、小麦粉、牧草を混ぜた生地で包み焼きし、ビーツ、にんじん、ジュニパーベリー、黒胡椒で風味をつけたビーフコンソメとともに味わう。サイフォンでサーブされるコンソメのルビーレッドが目にも楽しい。また、京都の農園で育てられた花ズッキーニは、蒸す・グリル・揚げるの三つの調理法により全く異なる味わいが引き出されており、素材の持つポテンシャルの高さに驚かされる。料理という世界の広がりと奥行きをあらためて体感できるレストランだ。

Sunset Cocktail

夕刻はゲストだけが利用できるカクテルタイムとなる「MUNI LA TERRASSE」。

オリジナルのカクテル、あるいはノンアルコールのモクテルを端正なセイボリーとともに味わえる。フランス式カクテルはアメリカとはやや異なり、伝統的なリキュールやワインを使ったエレガントな味と香りが特徴だ。桂川の向こうに傾く夕日にカクテルを映し込んで、フォトジェニックなワンシーンを是非。

Afternoon Tea

嵐山観光に訪れる人の間でも評判のアフタヌーンティーは、インルームサービスがおすすめ。テラスから庭を眺めながら、美しいお菓子と飲み物をゆっくりといただくのは至福のひととき。プティフールのような愛らしいセイボリーとフランスのクラシックな焼き菓子、そして京都へのオマージュを表現したケーキに、好みのティーまたはシャンパーニュを合わせて、心ゆくまで甘美な午後を堪能したい。

Breakfast

桂川に面した「MUNI LA TERRASSE」。窓に沿ってのロングカウンターに座れ ば、目の前にはあたかも絵のごとき景色が広がる。とりわけ気持ちのよい季節には緑に囲まれたテラス席もおすすめだ。朝食では焼きたての自家製ヴィエノワズリーの放つバターの香りやフレッシュフロマージュが食欲をそそり、ランチは前菜・メイン・デザートのショートコースからシェフのおまかせコースまで気軽に楽しめる。

桂川に面した「MUNI LA TERRASSE」。

Sweets

滞在の締めくくりには「MUNI LA BOUTI QUE」でショッピング。フランスで“ガトー・ド・ヴォワヤージュ”と呼ばれる、旅行やピクニックに携える焼き菓子、ホテルのシグネチャー的存在のリッチなブリオッシュ、オリジナルチョコレートタブレットをお土産に。旅行が終わった後も、この珠玉のスイーツを口にすれば、嵐山の景色が鮮やかに蘇り、心を満たしてくれる。ゲスト以外の購入も可能だ。

SPA

「福田美術館」オーナーが手掛ける「MUNI KYOTO」のスパ体験は、日本の美意識を大切に仕上げた非日常的空間で体験できる。ウェルネス&ホリティクスをテーマに、自然の恵みをふんだんに取り入れたトリートメントの他、京都産の素材を使用し自然と最先端技術を融合させた高品質のオリジナルトリートメントに加え、スイス発ドクターズコスメの最上級ブランドのエイジングケア「Summit of the Crevin」を使用。
それらを生かしたオールハンドのトリートメント技術と、イイノナホ氏のガラスアートが施された木漏れ日と柔らかな光の中で「癒し」の先にある「整える」という至福の時間を感じることができるだろう。


福田美術館

古来多くの貴族や文化人に愛され、優れた芸術が生み出された嵯峨嵐山に2019年オープン。現代建築に京町屋の要素を取り入れた和モダンな外観は、嵐山を”水鏡”として映す現代庭園、伽藍石が配された和風庭園と共に自然に溶け込んでいる。
蔵をイメージした展示室は「たとえ美術に詳しくなくとも、感動を覚えるような作品」をコンセプトに江戸時代から近代にかけての日本画家の作品、約1,500点で構成される。この町のシンボルである嵐山と渡月橋を最も美しく見渡せるミュージアムカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」が併設され、館内は作品含め写真撮影が可能。
また、「MUNI KYOTO」に隣接しており、アクティビディとして美術館を貸し切る事も可能だ。

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