雑誌や映画で見た砂漠の世界や摩訶不思議なピラミッド、スフィンクス…。
いつかは行きたいデスティネーションとして、
この地を挙げる大人が多いのは何故だろうか。
数千年の時を経てもなお、カイロはミステリアスに旅人を魅了する。
いまだ謎に満ちた神秘の遺産近代的な国際都市に宿る
摩訶不思議なミステリーツアーへ
「つわものどもが夢の跡」荘厳なピラミッドがそびえ立つ光景を実際に目の当たりにすると、そんな言葉が思わず口を衝いて出る。ナイル川の氾濫はエジプトの乾いた大地に潤いと緑をもたらし、紀元前五千年からこの地に文明を育んできた。数ある世界遺産の中でも考古学的、文化人類学的、そして何よりもミステリアスという意味においてエジプトのピラミッドは群を抜いた存在感がある。古代世界七不思議のうち唯一現存するクフ王のピラミッドはいまもその完璧な四角錐を保ったままだが、「なぜ」「どうやって」創られたのかは未だ解 明されていない。人類史上永遠に解けない謎が、旅人を惹きつけてやまないのだろう。エジプトを識ることは地上に生まれた文明の源泉を識ることでもある。ピラミッド、クレオパトラ、ツタンカーメン、スフィ ンクス、悠久の歴史を遡るタイムトラベルの準備は整った。いま壮大なる神秘のミステリーに誘われて、エジプトへの旅に出る。
FOUR SEASONS HOTEL CAIRO at Nile Plaza
ナイルの秘宝を探る旅
首都カイロは、イスラム勢力がアフリカ大陸進出の拠点として7 世紀に築いた軍事基地から発展した都市だ。13〜16世紀のマムルーク朝時代には街のいたるところにモス クやミナレット(塔)が建造され「千の塔の都 」とも呼ばれている。その中心を流れるのが、砂漠に潤いを与え、エジプト文明を育んで来た世界最長のナイル川だ。「フォーシーズンズホテル・カイロ・アットナイルプラザ」は閑静なガーデンシティ地区でもひときわ目立つ存在。エジプト装飾が施された30階建ての高層建築は、夕陽が当たると黄金に輝く。対岸のゲズィーラ島とカイロタワー、ナイル川を見下ろす美しい大パノラマは筆舌に尽くし難い。太古の歴史を感じる建造物と自然が共存する街、カイロの中心。古代のミステリーを追求する旅の拠点に絶好のホテルである。
Lobby
カイロ滞在期間中、最も頻繁に足を運ぶのがホテ ルの顔でもあるロビーだ。朝食の時間からすでに ビジネスミーティングに勤しむエジプト人の姿も あり、ランチやディナー、夜更けのバータイムま で終日活気にあふれている。考古学地区の散策か ら戻り、よく冷えたエジプト風コーヒーやジュー スで喉を潤すのは至極のひととき。ホテルステイ を楽しみたいなら、シーシャ片手にゆったり過ご すのもいい。カジュアルレストラン「プールグリル」 でバーベキューに舌鼓をうち、デッキチェアでエ ジプトの陽を浴びながらしばしまどろむ。過去と 現在が入り混じるカイロだからこその楽しみだ。
Presidential Suite【プレジデンシャルスイート】
25階から28階に位置する「プレジデンシャルスイート」は広さ138m²、 そして高層階ならではの絶景が何よりの自慢だ。プライベートテラスからナイル川を見下ろせば、砂漠の風が頬を優しく撫でる。かつてエジプトを支配したファラオたちもこの高所からの絶景は見たことがなかったはずだ。キングサイズベッドでは純白のシーツも肌に心地よく、まさに王侯貴族のようなステイが味わえる。インテリアはナチュラルな質感を生かしたモダンヨーロ ピアンで統一されており、自然と安らぎを覚える。一方、エジプトの現代作家らによる個性的なモダンアートは強烈な色彩で壁面を美しく飾り立てる。ここではオールドカイロの喧騒も嘘のようで、どこかヨーロッパの都会にいるような感覚になれるのだ。そして、広々としたリビングルームやベッドルームのどこからでもナイル川が見渡せる。よく晴れた日には、夕焼けに染まるナイル川を見下ろしながらアペリティフ、そしてプライベート空間でエジプト料理を味わう。そんなインルームダイニングはいかがだろうか。
Gastronomic Experiences
他国との交流で生まれたエジプト料理9つの異国空間で美食を堪能
四大文明のひとつとして発展したエジプトでは、料理も独自の発展を遂げた。 主にメソポタミア文明発祥の地イラクにも地理的に近いことから、アラブ料理の影響を受けている。一方、地中海に面していることからイタリアやギリシャなどの西洋料理の特徴や技法も取り入れられている。それは古代世界の中心地だったエジプトらしい料理といえるだろう。このホテル・ダイニングでは、現代エジプト料理はじめイタリア料理、中華料理と3つのレストランを中心にバーやラウンジ合計9ケ所でワールドワイドな味を楽しめる。料理を統括するのはイタリア人エグゼクティブ・シェフ、ジャンルカ・ヴィサーニ。イタリア的解釈で大いなる地中海世界を料理で結びつけてくれるのだ。ナイルがもたらす豊かなエジプト食材を思う存分満喫してほしい。
イタリア料理【BELLA】
メインダイニングはイタリア料理「Bella」。店名は美しいという意味のイタリア語で、その名の通り洗練された上品なイタリア料理を提供する。エジプト伝統の装飾タイルにオープンキッチンという開放的な空間が料理への期待を高めてくれる。地元民にも人気のヒヨコ豆を使った揚げ物、羊や鳩など薪釜を使ったロースト料理やパスタも自慢。エジプトからイタリアへと続く、古代ローマ の時間軸を料理で遡り、その奥行きを体感したい。
エジプト料理【Zitouni】
窓からナイル川が見える明るいインテリアの「Zitouni」。伝統的エジプト料理をベースにインターナショナルな各国料理でメニューを構成。代表的なシグネチャーディッシュはエジプトの女王クレオパトラも愛したといわれる「モロヘイヤのスープ」。クリスピーに揚げた半身のチキンをややとろみのあるスープに浸しながら食べるのも、通な食べ方だ。伝統料理を上品な盛り付けと現代風解釈で仕上げた、ファイン・エ ジプシャン・キュイジーヌに注目したい。
中華料理【8】
末広がりで中国人にとってのラッキーナンバーが店名の中華料理「8」。北京料理や広東料理など、ジャンルにとらわれない中国の美味を、中国人シェフの妙技が縦横無尽に再現してくれる。人気料理は鴨の皮目をカリカリに揚げ焼きした「北京ダック」。世界的に有名な中華料理だが、ここの北京ダックは本場の味だと評判が高い。エジプト料理もいいけれど、東洋の味が無性に恋しくなった時、上品かつ優しい中華料理で胃と心を整えるのは長旅に必須のリラクゼーションタイムだ。毎週金曜日の午後は飲茶タイムもある
UPER DECK LOUNGE
最上階にあるルーフトップラウンジはナイル川の大パノラマを見下ろしながら寛げる、とっておきの場所だ。サラダやサンドイッチといった軽いバーメニューから本格的な一品料理まで。さらに寿司が味わえるのもホテル内のダイニングではここだけだ。名物はサーモンロールにフランベで炎を灯す「フレーミングスシ」。味はもちろん、写真映えも良く、常に人気のメニューの一つ。深夜1時までオープンしているので、食後のナイトキャップにオススメしたい。
Best Things To Do in Cairo [カイロですべき7つの体験]
1.Giza Pyramids [ギザピラミッド]
カイロ観光のハイライトといえばピラミッド。世界七不思議のひとつとしてあまりにも有名だが、その目的や工法は未だに謎に包まれており、多くの諸説をもっている。内部には玄室と呼ばれる部屋があることから王の墓とも、あるいは階段を登って天に至るため記念碑的存在という説もある。カイロ郊外ギザ地区にはクフ王、カフラー王、メンカウラー王の3つのピラミッドが並ぶ。最大規模を誇るクフ王のピラミッド内からはミイラ化した死骸が見つかったが、これはピラミッド内部ではものが腐らない効果があるためともいわれている。クフ王のピラミッドはひとつ平均2.5トンの石材が約230万個も重なり成り立っているが、ここまで巨大な建造物を一体どうやって積み上げたのか?というのは今も謎である。
2.Sunset Feluca [ファルーカ]
ファルーカとは、小型の帆掛け舟。古代エジプト時代に石材を運ぶために使われたとされ、ナイル川沿いを歩いているとファルーカが水面をゆく詩的な光景に出会う。乗り場はナイル川沿いの随所にあり、観光客以外にも地元エジプト人のカップルやファミリー、休日のピクニックなどにも気軽に使われている。風だけを頼りに帆を使って走るので日によってスピードが変わるが、暑いエジプトではファルーカで涼しげな風に吹かれるナイル川下りは実に気持ちがいい。サンセットタイムにはナイル川に夕陽が反射してとても美しく、シャンパ ンを持ち込んで乗船と洒落込みたい。何世紀もの昔、クレオパトラも遊覧したというナイル川。エジプトの首都に沈む夕陽を眺め、そのロマンに思いを馳せてみてはいかがだろう。
3. ハーン・ハリーリー市場 [Khan el Khalili]
カイロの新市街からナイル川沿いに南の一帯がオールド・カイロと呼ばれるカイロで最も古い市街地。旧市街のイスラム地区とこのオールド・カイロを合わせて「カイロ歴史地区」 として世界遺産に指定されている。この地区には14世紀頃から続く職人の街ハーン・ ハリーリ市場があり、今では一大土産物ストリートとして有名。細い道の両側には金銀細工、ガラス製品、革細工、香水、パピルス、シーシャなどエジプトを代表するお土産がびっしりと並び、中東のバザール ( 市場 ) の雰囲気を目一杯楽しめるのだ。特に人気なのは香水瓶のセットや、魔除けの効果があると信じられている「ファーティマの手」や「ホルスの目」のモチーフアイテム。ピアスや指輪など小ぶりのものも格安で購入できる。
4. Sound and Light Show [サウンドライトショー]
昼間のピラミッド観光と一緒に事前にプランニングしておきたいのが、夜に行われる「サウンドライトショー(音と光のショー)」。レーザー光線とプロジェクションマッピングを駆使して3つのピラミッドが照らし出される姿は、昼間とは雰囲気も一転、神秘的かつ幻想的な表情を見せてくれる。開催は19:00〜、20:00〜、21:00〜(曜日により異なる)で時間は約1時間。音楽とナレーションによるショーだが日本語のオーディオガイドもあるので安心だ。ピラミッド観光の前日に見に行って音と光の洗礼を受けるもよし、昼のピラミッド観光を経て旅の最終日に行って目に焼き付けるのもよし。世界遺産として名高いギザの三大ピラミッドを昼夜違う視点で楽しめるのは、カイロ滞在ならではの醍醐味だ。
5. Dahshur [ダハシュール]
世界最古のピラミッド、ダハシュールへ
カイロから南へ40km、サッカーラから10kmのダハシュールには第4王朝の創設者スネフェル(クフ王の父)によって作られたと言われるピラミッドが二基ある。1979 年には「ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯」として世界遺産にも登録された荘厳な光景は、圧倒的な存在感で訪れるすべての人々を魅了している。一つは屈折ピラミッドで、途中で勾配が変わっているという唯一のピラミッド。もう一つが「最初の真正ピラミッド」といわれる赤のピラミッド。こちらは中に入ることができるのでぜひチャレンジを。また、世界最大級の「野外博物館」と言われるルクソールにも、古代のエジプト人たちが築いた偉大で迫力のあるモニュメントが立ち並ぶ。時間があればぜひ足を伸ばしてみたい。
6. Tutankhamun [ツタンカーメン]
ツタンカーメン王の黄金マスクをひと目見るならエジプト考古学博物館へ。館内の一角にある「ツタンカーメンの部屋」は一番の目玉で、ガラスケースに収められた黄金のマスクの周りにはいつも観光客がひしめきあっている。ツタンカーメンの在位は紀元前1300年頃、死後およそ3000年が経っているのだが、黄金のマスクは息を飲むほど美しい保存状態で緻密な装飾が施されているのが分かる。宝飾の部屋は現在照明が暗く落とされており、黄金のマスクが一層輝きを増すように工夫されている。黄金とラピスラズリで作られたそのリアルな表情は、一目見るためだけにでも訪れる価値があるだろう。室内には玉座や立像なども展示されており、気になるミイラ本体はルクソールの王家の谷の王墓内で公開中だ。
7. Mummy [エジプト考古学博物館 ]
「エジプト考古学博物館」ではミイラの展示を通じて、古代エジプト人の文化や風俗を知ることができる。当時、「死後の世界=来世」は現生の延長と考えられており、死後も生活に困らないように埋葬の際は金銀財宝に加え食べ物や日用品も一緒に埋められていた。博物館内には2つのミイラ室があり、ラムセス 2世などの著名なファラオのミイラも多数安置されている。ここでは、数千年の時を超えた今も、眠り続ける王の姿を見ることができるのだ。また、呪術に使われたウシャブティと呼ばれるミイラ形の小像や、ミイラから取り出した内臓を納めていた陶器などからは、死を身近なものととらえていた古代エジプト人の信心深さが伝わってくる。歴史が紡いできた、王への尊敬の念を感じることだろう。